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サムライレポート

新たな楽器を発明した日本人、堀 慶史氏(ヴィオラフォン発明家)~楽器に10年変化が無いことに違和感を抱いたのがキッカケ~

2012/02/26  

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ドイツのデュッセルドルフ
そこで僕は堀さんとお逢いした。
堀さんの見た目は紳士的な方ですが、中は非常にエネルギーに溢れる方でした。

堀さんは僕に言いました。
「楽器って、新しい物がさっぱり発明されていないんですよ。
変だと思いませんか?だから僕が創りました!」

楽器を発明する、、、その言葉の響きは非常に壮大なものに思えました。
僕は自主ライブイベントを運営したり、月間15回ライブハウスに行くという音楽好きでした。

ですが、演奏者としてはほぼ経験が無い為に、楽器については素人同然。
そんな僕が「楽器を発明」という言葉を聞いたもんなので、ちょっとポカンとしてしまいました。

ですが、その時の僕の目の前には間違いなく、
ヴィオラフォンという世界初の楽器を発明した堀さんがいるのです。
実物のヴィオラフォンにも触れさせて貰い、僕は少年のように興奮していたことを覚えています。

今回はヴィオラフォン発明家、堀さんをご紹介いたします。

自己紹介と、これまでの歩みについて教えてください。


(※ヴィオラフォン試作機と堀さん)

堀 慶史。
大阪生まれ。大学では工学を専攻。現在34歳。
大学卒業後、20代は東京でITのエンジニア、コンサルタントとして従事していました。

30歳の時に、夢だったドイツ移住と起業を同時に実行。
32歳の時に楽器「ヴィオラフォン」を発明しました。


http://www.youtube.com/embed/Se99h1U7RcI
(※堀さんによるヴィオラフォンのデモンストレーション演奏)


http://www.youtube.com/embed/h8pVZQWibMQ
(※ヴィオラフォンを使用している奏者のいるアーティストさんの動画)

現在の活動内容を可能な範囲でご紹介下さい。

ドイツ移住当初は、日本の貿易会社とパートナーシップを組み、
リクエストのある商材をヨーロッパで買い付けて輸出する貿易業を行っていました。

その後、ヴィオラフォンの発明を機にその開発に取り組み、
現在は、生産拠点を日本に移してヴィオラフォンの開発、販売、拡販を行っています。
これからも展示会や商談で、ヨーロッパやアメリカで活動していきます。

楽器ヴィオラフォン発明のキッカケについて教えて下さい。

ちょっと長くなります。笑

学生の頃は時間もあったのでギターを弾いて音楽をやっていたんですが、
東京で働き始めたら多忙で仕事脳になりすぎて、
音楽を創造するマインドになれなかったので10年ぐらい楽器からは遠ざかっていたんです。

ドイツに住み始めて1年ぐらい経つと、
時間にも余裕ができて音楽をまたやりたくなったんです。

それで早速ドイツの大型楽器店に行ったんですが、
そこで見たのは10年前に最後に行った日本の楽器店と全く同じ光景、同じ商品。
主力商品のエレキギターは形、色、部品細部まで、全く変わっていないことに驚きを覚えました。

こういった印象を持ったのは、僕が移り変わりの速いIT業界で仕事していたこともあると思います。
10年前の携帯電話やPCを今使えと言われても困りますもんね。

しかし楽器の機能面が全く進化していないことに違和感を持ちました。

それで、エレキギターになんらかの機能改善をできないかと思って、
最初に考えたのが自動チューニング機能です。

チューニングというのは、ペグと呼ばれるネジを回して弦の張力を調整し各弦の音程を調律することですが、
もちろんこの作業もギタリスト達は今でも手で行っていて、
演奏前にチューナーという機械を使って1、2分掛けてチューニングしています。
また初心者にとっては機械を使っても難しい場合があり、ギターを始める最初の壁です。

このペグに電動モーターを付けてチューナーで制御できれば、
自動でチューニングしてくれるというアイデアです。
初心者から上級者まで数秒で演奏に集中して始められます。

これはすごい!と思ってインターネットで調べると2007年に既に発明されて商品化されていました。
しかし、高額すぎてあまり出回っていないようでした。
残念とは思ったのですが、このアイデアが出たのが2007年。

もし僕が音楽をやめずに続けていたら先に発明していたかも、
やはり楽器店で感じた進化が止まっている感触は間違いじゃなかったと思い、
他にもそういったアイデアがないかなと思っていました。

そこで機能面ではなく、音の面で新しい物を開発できないかと思ったんです。

エレキギターは、メロディーも弾けるし、コードも弾けるし、
綺麗なクリーントーンもだせれば、迫力のあるオーバードライブ、ディストーションサウンドも出せる、
万能でいて演奏もそれほど難しくない素晴らしい楽器です。

しかし、1点だけ昔から気になっていた点がありました。
それは、音の鳴らし方です。

ギターは指か、ピックで弦をはじく撥弦(はつげん)楽器ですが、この撥弦楽器はすべて、
弦をはじいた時のアタック音とその後減衰していくサスティーン音で音が構成されています。

しかし、この音をもっと自在にコントロールできる楽器があります。
それがバイオリンやチェロのように弓で弦をこする楽器、擦弦(さつげん)楽器です。
擦弦楽器は、音の出始めから終わりまでを弓をこする強弱で自在にコントロールできます。
これが、特にソロ演奏で表現力が豊かと言われている所以です。

そこで、この擦弦楽器のよいところを撥弦楽器であるエレキギターに付け加えたら
最強の楽器になるのではないかと思って考案したのがヴィオラフォンです。

結果、擦弦楽器で和音を弾ける楽器を発明することができました。

ヴィオラフォン発明・製造等の段階で苦労・挫折を経験したエピソードがあれば教えて下さい。

最初、様々な物や方式で弦を擦ったり、振動させるテストを行いました。

物ですと、やすり、木の棒、リボン、ゴムバンド、歯車、
その他スーパーやホームセンターで、弦を綺麗な音で擦ることができるものがないか捜しました。
電動歯ブラシも試しましたね。笑

しかしどれも聞き苦しい音しか出なかったので、
弓の毛である馬の尻尾に比較的近いと言われている釣糸を束ねて作った弓に松脂を塗って試したら、
心地よい音がなり、びっくりしました。

後日、バイオリンの弓で試し素晴らしい音が出て感動しました。
楽器が進化していないことから始まったアイデアでしたが、
16世紀に生まれたバイオリンの歴史も伊達じゃないなと思いました。

その後、この楽器を世界中の人に使ってもらいたいと考え、
普及を目的とした事業としようと思い、製造先を探したのですが、これが非常に大変
でした。

ドイツと日本の双方で職人さん、工房、工場に100社以上に当たりましたが、条件の合う先が見つからず苦労しました。
特にコストがほとんど合わず、原価で一台30~50万円、高いところだと100万円以上の見積もりが来ました。
初めての楽器製作に作る側も不安を覚えていたようで量産のイメージもなかったようです。

しかし、事業の目的は、万人向けへの普及ですので、
エレキギターのような普及価格帯にしたいと考え、粘り強く捜し続けました。

そして日本の工場さんと契約することができ、売価も15万円強で提供できるようになりました。

ヴィオラフォンの今後の日本での展望、世界での展望について教えて下さい。


(※ヴィオラフォン試作機)

ヴィオラフォンの事業の目標は世界的な普及です。
ギターやバイオリンのように誰しもがその名前を知っているような楽器になり、
世界中のプレイヤーの音楽に活かしてもらいたいと考えています。

具体的にはまず100台を出荷したいと思っています。
そして1千台、最終的には夢の1万台を目指したいと思います。

そのために、日本では、製造とボトムアップマーケティングを、
アメリカ、ヨーロッパでは、トップダウンマーケティングで有名ミュージシャンへの楽器提供や展示会への出展を計画しています。

堀さんは、なぜドイツへ渡ったのでしょうか?

18~19歳の学生時分に単純に憧れを持ったんです。
ヨーロッパは音楽と芸術に溢れ、ドイツは厳格な国柄で自分にピッタリだと思いました。
それから10年掛かってようやく実現できました。

海外で起業する、働くという志向を元々お持ちでしたか?

ドイツに居住するという夢のために、仕事はそれを実現するための手段でした。
日本、海外のロケーションに関係なくグローバル志向で仕事をすることが大切だと考えています。

言語の壁以外に、ドイツにきてから立ちはだかった困難はありますか?

一部のドイツ人ワーカーには、ストレスが溜まることもありましたね。

間違えて、指定した倉庫ではなく街中の事務所に大きな荷物を送りつけて来たり、
請求書二重で送ってきたり、話してる途中でガチャンと電話を切られた事も何度かありますね。

あと、工事人にインターネット回線を切られて抗議しても知らんぷりとか、
送った荷物が雪の中空港で放置されてびしょ濡れとか、、、、思い出しただけでも怒りが…。

海外(ドイツ)で働くこと、生活することの魅力について教えて下さい。

毎日が刺激的ですね。
ドイツ人やそこに住む外国人、日本人達はみんな人生を高める意識が高い人が多いので、
そういった人間関係も非常に楽しかったです。

誰かの家に集まってホームパーティーすることも日本にいるときより各段に増えて楽しかった。

仕事の面では、日本ではあまり感じる事が出来ない国際感覚が身につくと思います。
ヨーロッパ(EU内)は経済的にボーダーレスなこともあって隣国が身近な取引先です。

ご自身の今後の予定や将来の夢(目標)について教えてください。

目標は、ヴィオラフォンの販売がようやくスタートしたのでそれを軌道に乗せること。
当面の目標は100台ですが、1千台、1万台までは具体的に目標としてイメージしています。

ギターの販売数は、推定で日本で年間30万台で、世界では100万台は軽く超えています。
売れるギターのうちの1%がヴィオラフォンだとしても年間1万台はいけるというのが公算です。

普及したらどうなるんでしょうね。
ヴィオラフォンをどんな風に演奏してどんな音楽を作るかはプレイヤーに委ねようと思っているので、
プレイヤー達がいろいろな音楽の世界を展開していってほしいと思っています。

ヴィオラフォンを提供する側としてはそのための場作りをしたいと思っています。
例えば世界中からプレイヤーが集まるヴィオラフォンサミットとか。笑 

そういう年に一度的なヴィオラフォンのお祭りが一大イベントに成長したら面白いですね。

最後に、日本の若者にメッセージをお願いします。

僕が20歳そこそこだった頃に比べるとインターネットの恩恵もあり、
日本もだいぶグローバル化してきたと感じます。これからもどんどんとグローバル化していくでしょう。

その中でも意志を持って自分が正しいと確信する方向に向かって行ってほしいと思います。
意志があれば何でもできます!

あとがき

僕は楽器に詳しい人間ではないのですが、
こういった新しいモノの誕生は恐らく多くの批判も生まれるのではないでしょうか。
きっとエレキギター愛好者からも、ヴァイオリン愛好者からも疑問の目でみられることもあるのではないでしょうか。

ですが、そういった苦難も乗り越えて、
いつしかヴィオラフォンがヴィオラフォンとしての楽器としての地位を築きあげていくことを期待しています。

日本発の楽器発明家としての堀さんに今後も期待大!

堀さん、御協力有難うございました!

こちら、ヴィオラフォン公式サイトです。
http://violafon.com/
※試作機よりもデザイン・外観が洗練されています。

太田英基

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