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サムライレポート

世界一周中に起業した26歳の若者達。スペイン語オンラインレッスン事業、スパニッシモ創業者(有村拓朗氏&吉川恭平氏)

2012/01/15  

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(※写真左が吉川氏、右が有村氏。)

僕と同じ世界一周旅行者であり、20代の若者である二人の旅人が、
中米グアテマラにて起業したという報告を受けて、
これはまさにサムライバックパッカープロジェクトで取り上げなくてはと思い、今回ご紹介させて頂きます。

実は僕は彼らと面識があります。
面識があるも何も、僕が旅立つ直前10日間ほど、彼らのご自宅に居候させて貰っていたという…(笑)
当時より、彼らは異彩なエネルギーを放つ異色系旅人だと感じていました。

そんな彼らはロハスパッカーズという旅プロジェクトを起ち上げて、
長期旅行に出るのですが、まさか旅中に起業するとは思いませんでしたので驚きました!
まさに彼らのエネルギーが生んだチャンスなのだと思います。

彼らが起業した事業はオンラインで、スペイン語のレッスンを格安で受けられるというモノです。
英語では既に多数のサービスが日本市場向けにもリリースされていますが、スペイン語というニッチな部分はまだまだ未開拓。
きっと彼らが業界の先駆者となって市場拡大を行なっていくのでしょう。

そんな彼らにもサムライレポートにご協力を頂きました。

自己紹介と、これまでの歩みについて教えてください。


有村:
僕と吉川は大学で出会いました。
一緒にイベントや企画を考えて実行するようになったのは、お互いが留学から帰ってきた3回生のときからですね。一回生のときは吉川がギャル男すぎたのと、有村が体育会系すぎるっていう温度差によって、
お互いの人生が交わることはなかったですね(笑)

留学から帰国後、吉川がネパールの人々にパソコンを寄付するためにチャリティ企画を考えていて、
そこに僕が加わったことがお互いを知るきっかけ
になりました。

僕はアメリカで、吉川がニュージーランドで海外生活経験があったこと、
とにかくはちゃめちゃで楽しいことには何でも参加するし、いろんな人と関わるのが大好きなこと、
意外と真剣に世の中を自分達で良くしていきたいと思っていたこと。
このあたりで、語り合ってはいませんが、仲良くなっていった部分なのではないかと思っています。

吉川:
僕もそう思います。。

有村:
その後、吉川が休学をしてユーラシア大陸横断に行き、僕はリクルートで働き始めました。
2年目に吉川が東京で就職することをきっかけに、
もう一人の大学時代からの友人である栗林を誘い、3人でシェアハウスを始めました。

シェアハウス時代は、自分達の可能性について、将来について、彼女について、3人で何度話したかわかりませんが、これを通じて、一人ひとりが「もっともっと自分の可能性を追求していきたい」という思いが強くなっていきました。

そんな3人の選択肢にふとあがってきたことが、
世界一周をしながらそれぞれのなりたい姿を追求していくことでした。
一番考えたこととしては、「たった一人でもこの旅をやるかどうか」。ここはそれぞれで悩みました。

たとえ一人でも自分で企画をして、実行できるくらいの思いを持たないと、きついなと思ったので。
それぞれが一人でも旅に出る、と決意したとき、
「それなら3人ならもっと面白いことできんじゃね?」ってことで、3人で旅に行く準備を始めました。

旅費、企画、営業などをクリアするのに1年間の準備期間をとり、2011年の1月に旅立ちました。
そして旅を始めてから9ヵ月後、僕らはオンラインのスペイン語会話サービスを立ち上げることにしました。
人生ってほんとどうなるかわかりませんね。。。

株式会社dotzの活動・事業内容(スパニッシモ)について教えてください。

彼らが起ち上げたスパニッシモのWEBはコチラ

吉川:
元々は会社にする予定はまったくなかったんです。

当初は僕と有村が中心になり構想を練り、一緒に旅をしていた栗林にも声かけ、
三人でどうやったらこれがビジネスとして成立するのか、妄想ばっかりしていました。

本当に細かいことですが、競合情報を片っ端からエクセルに入力したり、
知人のオンライン事業展開している人たちにアドバイスをもらったりと、
マーケット予測や、ビジネス規模に関する議論などを泥臭くやってました。

そんな中でシステムが必要、営業が必要、マーケットを明確化する必要がある。
などなど…。

三人の力では限界があるため、
当初は社会人時代に仲の良かった共通の友人一人にヘルプをお願いし、
一緒に仲間として加わってもらえることになりました。

そこからその知人の友人も2人チームに入り、
サービスの展開ははじめに日本マーケットに、
次に世界にこのサービスを展開する
という形で話が進みました。

サービスを始めるにあたって、
経理面、法律面、また今後の信頼性を考えた時に会社を設立する必要があるとわかりました。
そして、一緒に始めたメンバー(吉川、有村、栗林以外)が全員日本にいたことから、
長期的な視点を考え株式会社を作ろうということになったんです。

正直、日本でサービスインをするにあたっての信頼力を示すものとして、
株式会社にすることが重要
ではないか。
そこの部分が会社設立にあたって一番大きかった気がします。

会社に関してですが、
このメンバーではまずオンラインスペイン語サービスを中心に事業を展開していく予定です。

また、せっかく旅人としてスタートし、
多くの国を見て回って商売を展開するチャンスがあるなと思っている
ので、
安易ではありますが、幅広く業態イメージを構えながら、
さまざまなビジネスが展開できるプラットフォームとして成長させたい!
そういった思いを持っています。

ですので、名前のdotzはバラバラの地でありながら、
みんなが一つになって会社を社会のために役立てたい。という思いから、
英語のdotを複数形にして、ドットとドットがつながっているもの。

そして、zはちょっと遊び心ではありますが、航海士などが船で使うZ旗(日本での解釈として、負けられない勝負に挑む時、『勝利』を祈願して用いられる)をモチーフに、素人チームではありますが、
どうせやるからには世界を目指して挑戦しよう!!
そういった思いでこの名前をつけ、僕らの船となる会社ができました。

スパニッシモについて

吉川:
スパニッシモはオンラインスペイン語会話サービスです。
私達のサービスは、グアテマラで現役のスペイン語講師とスカイプを使ってマンツーマンレッスンを受けることができ、家にいながら自宅留学をできるプラットフォームを用意しております。

本校の営業時間は日本時間夜21時~翌昼11時まで展開しており、
日中お仕事でお忙しいビジネスマン、また主婦の方の要望を踏まえて、こちらの時間設定とさせて頂きました。
ここで、簡単にスパニッシモの特徴をご説明させて頂きます。

《その① 業界最安値のサービス》
私達のサービスは1回50分あたり500円から受講頂ける価格設定をさせて頂いております。
スカイプという無料アプリケーションを活用することにより、遠隔でありながら現地の人とリアルタイムで授業を受けられるプラットフォームをご用意しております。

《その② 確かな実績を持つ講師陣》
スペイン語講師経験を1500時間以上経験している講師のみを厳選し、
高い教養と、外国人の指導経験豊富な先生のみ採用しております。
そのため、初心者から上級者まで安心して本サービスを受けて頂くことができます。

《その③ 独自の学習メソッド》
本校のサービスでは独自の二つのカリキュラムを用意させて頂いております。
生徒の皆様の要望のもと実施するリーセッション授業、また全81回のセッション(初級者35回、中級者19回、上級者27回)で構成されたスパニッシモアカデミーを用意させて頂いております。
スパニッシモアカデミーでは独自テキストをご用意させて頂いており、
各授業時にみなさんに配布させて頂きます。

※両学習方法に共通する学習メソッド
A.授業終了時に講師からフィードバックを受けられる仕組み
B.マンツーマン指導のもと、個人のレベルにあった授業の実施

二人のdotzでの役割・仕事内容を教えてください。

有村:
dotzというよりもスパニッシモでの二人の役割をお伝えします。
すごく正直に話しますと、基本的には全部を二人で見ながら仕事を進めています。
その中でも役割をつける必要があるときは、
「優先順位をつけてから、どちらがよりスピーディーに仕事ができるか」という話し合いをして決めています。

もう少し具体的に話しますと、
スパニッシモの構想を実行に移すときに、3ヶ月で立ち上げをすることに決めたので、
スピードが命ってことだけはわかっていました。

「で、立ち上げをするって、そもそも何せんとあかんのやっけ?」というところからだったので、やらないといけない項目を書き出してみて、とにかく目の前の優先順位の高いものから片付けていっていました。

向こう3ヶ月のスケジュールを見ると10月末には僕がサンフランシスコに行くことが決定していたので、このタイミングで必要なインフラを全部整えてしまおうと総務関連の仕事は僕が引き受け、また前職の経験から、日本においての営業組織の編成とその戦略についても僕が引き受けました。

その間、グアテマラ側に残る吉川は、現地での営業として現地学校との提携と、自分達の武器になる独自のカリキュラム作りの部分を引き受け、役割分担としました。

そのほかのウェブサイト、マーケティング、財務、法務、などは基本的には二人でみながら、
その時々でスピードもってできる方が先頭を切って取りまとめるよう分担しています。

この方法自体は現在まではとてもうまくいっています。
「よりスピードをもってできる方」というのは二人で話をすれば大方すんなり決まるので問題ないですし、
あとはそれを相互でチェックし合いながら進めています。

アメリカとグアテマラで離れていたときは、毎日スカイプなどで連絡をとりあっており、
まるで遠距離恋愛を始めたばっかりのカップルのようでした。

上記に話したように、可能なことは全部二人でやりましたが、初めての仕事も多かったです。
例えば総務の仕事。これはなめていました…。
「パソコンとか発電機とか、必要なものを買ってくれば大丈夫っしょ!」くらいのノリだったんです。

ところが、例えばこの一つの仕事って簡単にいうと
「必要な機材を可能な限り安く調達し、期日までに安全に目的地までに購入したものを到着させること」ですよね。

こんな簡単そうなことがものすごく難しかったです。
購入したい商品の評価が割れているとどっちを信用していいかわからない、商品のスペックが正確に記載されていない、到着予定時刻に来ない、購入した商品が危険物扱いで飛行機に積めない、とか挙げればキリがないですが、まるで細かいことが苦手な私としては、苦行でした。

今となっては、この細かさがものごとを進めていく上でいい影響を与えてくれるようになりましたけど、当時のこの仕事はキツかったです。

けれどこの仕事を進めていく中でカスタマーサービスの重要性と、
日本のカスタマーサービスの質の高さには改めて感動しました。

日本人が「当たり前」と思っている感覚って、
やっぱり良く言うとものすごく鋭いし、きっちりしている。

この感覚は重要だと思います。
この「当たり前」の感覚を、早くサービスの標準にしたいと思っています。

スペイン語会話オンラインサービスに着目したキッカケを教えて下さい。


有村:
僕達は純粋に、自分達が継続して使い続けたいサービスを作ること、
このサービスを通してグアテマラのスペイン語学校の講師に対して雇用の創出、
および外国人と直接的に仕事が出来るプラットフォームを作りたい
と考えスタートしました。

僕達はグアテマラで2ヶ月間スペイン語のマンツーマンレッスンを受けていましたが、
本当にステキな語学学習の機会で、こういったものを体験できない人に、
ぜひ機会をつくりたいと最初はなんとなく考えていました。

自分達が受けたようなサービスがすでにオンラインに存在するかどうか、
調べて体験入学を行いましたが、継続して受けたいと思うものはありませんでした。

そうして、調べていくうちにeラーニングの需要が世界で拡大していること、
スペイン語が世界で2番目に多く話されている言語であること、
アメリカでいえばヒスパニック人口の継続的な伸び等の事実から、
チャンスはあるのではないかと思っていました。

吉川:
もう一つのキッカケは、グアテマラの雇用状況にありました。

こっちのスペイン語の先生は皆契約社員と一緒で、
生徒がいれば仕事はあるし、いなければ一切ないというのが現状。

特にスペイン語の生徒は主に外国人(観光客)がメインのため、
観光のローシーズンは失業する人がたくさんいます。

仕事がないどころか、自分の契約しているスペイン語学校が一時的に閉鎖することもよく聞く話で、
不安定な職場環境にいながら、
失業率の高いグアテマラで他の職業にありつけない方がたくさんいます。

しかも、失業手当など論外。
誰も助けてくれる人はおろか、家族すら養えない先生がたくさんいます。

また、先生が増えすぎて、講師の時給の値崩れが起き、
より大変な職場環境が今の先生にはあります。

こういった現状を見ていると、”どげんとせなー!”みたいな感情が自然とでてきて、
自分自身今この現状を少しでも改善できるよう日々取り掛かっています。

自分達が継続して学びたい場所、
そして、フェアで先生達が学校での授業以外の仕事のチャンスをつかむこと。

そのためには、こちらとしてもサービスをグアテマラの多くの先生に知ってもらう必要があるし、
チャンスの拡大をしなければならない。

ただ、現状の予算や規模感では、まだまだ遠い話ですが、必ずカタチにしたいと思います。

だから、最初に日本マーケットでサービスの提供を開始し、同時により大きな市場であるアメリカに挑みたい。

僕達が雇用する先生も増やすことだってできるし、このサービスがうまく機能すれば競合も増え、先生の雇用状況が大きな意味で増えると考えています。

だからこそ、そこに名をあげ、先陣きって成功を導きたい。
単純にそれだけです。

お二人も長期旅行中ということですが、何故旅立ったのか教えて下さい。

有村:
僕は
・ちっさい自分の殻を破りたかった。
・モノを創る経験をしたかった。
・自分を見つめて生き方そのものを考えたかった。

これらを全部ひっくるめてできることとして、世界一周という道を選択しました。
モノを作るなら日本でもできる。ちっさい自分の殻をやぶろうと思えば日本でもできる。

そう、別に環境に依存しなくったって、日本でできることはいっぱいあると思いますよ。
でも日本にいて自分が刺激を得ることと、海外でのその経験は絶対に違うことだけは肌でわかっていました。

実際に旅に出てちょうど1年が経とうとしていますが、今のサービスに結びついたことで、一つ自分の中で答えが出たと思っています。

吉川:
結論からいうと、自分の将来を真剣に考え、自分の在りたい姿を考えた時に、
世界というフィールドで自分の可能性を試したいと思ったからです。

そして、ここは話すと長くなるのですが、旅という形をとってそのプロセスを実現していきたい。
そう感じたからです。

最初に誤解を生まないためにも、自分は日本での生活にかなり満足はしていました。
外資系の少人数制の消費財メーカーで人事・新卒採用の担当をし、給与もかなり高い水準で、まったくといっていいほど不満はありませんでした。

そんな中で、世界で活躍する友達、起業をしている友達、なんでも話せる仲間などと交流する中で、
自分の中で『自分の在りたい姿ってなんなんだっけ』といった質問をすごい考え込んだ時期がありました。

会社も勿論チャレンジングで、毎日新しい学びや発見があったのですが、
それ以上に一人の人間として明日死んでも、自分は後悔しないだろうか?

本当にこれで満足できるのか?

“自分が接してワクワクするものを日本と海外双方に伝達できる人で在りたい”
これは僕自身が目指したい究極の姿です。

これを考えた時に手段として、転職する、海外に留学する等、いろいろなアイディアがでてきました。

しかし、圧倒的に自分に不足しているものとして
海外という大きな舞台を自分の肌で体感した経験があまりに少なかったこと。

そして、それを自由に行える環境としては移動しながらそれらを実現していくことが
自分にとっては重要と考え、今回日本を旅立ちました。

旅行中に起業するという面白さ&困難についてはいかが感じていますか?

有村:
僕は旅行中にビジネスになりそうなアイディアの種を見つけることがたまらなく面白いです。

例えばそれまで中米を半年以上旅していて、一度も寿司を食べていなかった僕らは、パナマなら旨い魚にめぐり合えると旅行者から聞いていたので、期待値最大で寿司屋に乗り込んだんですよ。
それが寿司屋で出てきたこれが不味すぎて完食できなかったんです。
日本でありえますか?寿司が最後まで食べれないって。ありえないですよね!

怒り心頭の私達はその後行った2軒でも全く納得できず、
またそれを「オー、ジャパニーズスシー!」って言ってくる隣のテーブルの現地人に、
怒りの余り愛想笑いもできず、それで勢い余って「パナマで寿司屋やろう!」って話になったこともあります。

パナマは現在建設ラッシュが進んでいて、それに合わせて海外からの長期滞在者が増えているんです。

この美味しくない寿司屋で一人1500円くらい料金をとるのなら、
この海外長期滞在者を狙った一人あたり5000円以上とる高級寿司屋ならいけるんじゃないか、とか。
これは今でも「俺、職人でいきまっせ!」って人がいたらすぐに実行に移せるんですが(笑)

あとはグアテマラで織物やコーヒー、これらもビジネスの種になると思っていますし、
こっちでは「まとまった情報」を手に入れる手段がまだまだ少ないので、
日本ですでにあるようなアイディアは、違う国の人々を豊かにする可能性が眠っています。
もちろん逆もしかりです。
旅行中にアイディアの種をいっぱい拾えることは、かなり面白いと思います。

困難については、やはり一番は現地の「人」を動かすことでしょうか。
時間にルーズ、絶対にネガティブなことを言わない、っていうこの二つの要素は、
今も、そしてこれからも困難として私達に立ちはだかり続けると思ってます。

グアテマラ人をはじめ、ラテンアメリカ系の人に共通で通じるものがあると思うのですが、
この感覚が日本人とは違いすぎて、
「日本人と一緒に仕事をしたいなら、こんなんじゃダメや!」って何回口論になったかわかりません。

この困難の解決には、ただ怒るだけではなくて、
海外の人と仕事をするということがいかに自分達の前提とずれていて違うのか。
これを根気強く教え、ともに海外の国の人々と一緒にいいサービスを提供するために頑張ろう!という姿勢を伝え続けることが大切ではないかと思います。

吉川:
いい質問ですねー。
まず旅行者として起業する面白さについてですが、常に想定外の課題と向き合い、それを解決する作業ですかね。要は知らないことだらけの国で、毎日新しい仕事やチャレンジがあり、常に学びと振り返りの連続で、ワクワクする部分です。

また、お恥ずかしい話ですが、グアテマラで仕事をしてはいるんですが、
生活そのものはまったく旅行者と変わりなく、
今までずっとゲストハウスやユースホステルで作業をしてきました。

インターネットとPCさえあれば出来る。
終日ゲストハウスにこもって(今も)作業ばかりしていたんで、
これほど環境に左右されず進められることは非常に助かっています。

次に困難について。

①課題の連続
これはいい部分でもあり、悪い部分でもあります。ただ、想定できない状況が常に自分達のまわりにはあって、それを解決したくても出来ない問題もたくさんあり苦しんでいます(笑)

例として、人生初体験、バスでピストル強盗に遭遇しました。
8人組の強盗に襲われ、持っていたPC、電化製品、カバンから全てとられるという被害にあいました。
当然バックアップデータをとっていなかった資料もたくさんあったので、せっかく進めた仕事がパーになり途方にくれた経験。頭が真っ白になり、ただ生きていてよかった。そう思えた経験でしたが、仕事面では大きな打撃をうけました。

②ラテン文化はnoと言わない
これは本当に致命的なのですが、グアテマラ人はどんなことでもポジティブにとらえる性格があるため、例え知らないことでも、出来ないことでもnoとは言わないのが、かなり仕事をする上で難しいです。
こちらが仕事を現地人にお願いして、出来るとなったとします。
その上で、業務を組み途中経過を確認すると…できていない。
なんで?ときくと、その時になって初めて分からないという。
そんなことが日常茶飯事にあります。

こういったnoといえない文化があることが、結構仕事をする上では大変です。

海外で働く・起業するという志向を元々お持ちでしたか?

有村:
海外で働くことについては、海外と日本という区別をしたことは少なく、
どこで働くか、についてはニュートラルです。

しかし海外に出ていくってことが大事なことは感覚としてとても強く持っています。
自分の幼少期を振り返ってみると、アメリカで過ごさせてもらった経験、海外旅行をさせてもらった経験、大学で再びアメリカに留学した経験は、自分が意見を言うとき、考えるときの土台となっています。

お金に変えられる価値ではありませんが、大変貴重だったと思っています。

海外で起業する志向があったかどうかはわかりませんが、
今回の旅の目的として、「モノを創る経験をする」を一つ大きく掲げています。

人から必要とされるものをゼロから自分で作ってみたいという欲求があったので、今回のサービスを開始することができてすごく嬉しいです。

吉川:
もちろん、そういったチャンスは常に探していました(笑)

海外で働きたいと意識し始めたのは、高校生ぐらいからです。
ニュージーランドで8年間幼少期を過ごし、日本と海外を行き来するチャンスがあったため、あまり意識して日本と海外という線でわけるのではなく、世界は広く可能性がたくさんある。
だから、そのフィールドがどこであろうと、チャンスを形にしたい。ぐらいに思っていました。

次に起業についてですが、特にこだわっていた訳ではありませんが、
自分の父親が自営業を行っていることもあり幼少期から父の姿を見て憧れていた部分も強かったと思います。

自分の志をもって、事を成し遂げたい。
その上で社会に対して貢献できれば、これほど面白いものはないだろう…
ぐらいに思っていて、結果起業という形が一番理想だと思っていました。

言語の壁以外に、サービス起ち上げに立ちはだかった困難はありますか?

有村:
旅行中に起業する困難の部分では人の問題をあげましたが、
それ以外でいえば通信環境は大きな困難です。

グアテマラのネットの回線速度は、日本の20分の1の速度です。
また日本ではほとんど心配することのない停電がこっちでは頻発します。
しかも一度停電するといつ回復するかわからない。

この二つは通信環境が命のサービスにあって死活問題です。
現在行っていることとしては、一番速い回線を引くこと、停電に備えての機器の購入はしました。

しかし一番は、停電が発生したときに、現地の人がきちんと対処してくれること。
結局、人の問題に戻ってきましたね(笑)

グアテマラと日本とでビジネスをするにあたって異なる商習慣・法律等があれば教えてください。

吉川:
商習慣に関して感じたこととして、家族と仕事は切り分けて接する大切さ。

これは日本もきっとそうだと思うのですが、
ここの線引きはグアテマラ人にとってかなりはっきりしている部分だと思います。

そのため、仕事の同僚に飲みに誘われたり、家にさそわれた時は必ず仕事の話をしないように徹底しています。

相手としては、この時間を使って、もっとあなたのことを知りたいの!
といった意味合いを持っているので、仕事の問題や悩みは仕事場でやろう。

でも、私達のプライベートではしないでね。といったメッセージがすごい強くある気がします。

海外(グアテマラ)で働くこと、生活することの魅力について教えて下さい

有村:
海外で働くこと、というより、
旅を通じて「色々なところで比較するモノサシ」が増えた経験が一番貴重だと思っています。

これは恐らく日本に住んでいると一番感じにくい部分ではないでしょうか。
なんてったって比較するのが難しいくらい単一な民族ですからね。

日本ってどんな国なのか?
日本人ってどんな性格なのか?
自分達の暮らしている社会、「当たり前」と思っている前提がどれだけ周りの国と違うのか。
これって自分の国で生活しているとなかなか見えづらいものだと思うんです。

でも、旅をすることでそれらは簡単に感じることができます。
できればどこかにちょっとでも長く滞在できればなおいいですね。

これはなにも「サービスを創る」ということだけじゃなくても、
「日本人である自分は世界からどう思われていて、日本以外の人間が生きているどういう世界に私達は生きているのか。」ということを知ることができるのは貴重だと思いますし、魅力ではないでしょうか。

今後の予定や将来の夢(目標)について教えてください。

有村:
サービスの目標で言えば、この一年で「オンラインでスペイン語を学ぶならスパニッシモ」という土台を固めていきたいと思います。

そのために、1月21日にサービスを始めた後も、
使い続けてもらうサービスにするために、必要な機能を可能な限り早くリリースしますし、英語版もオープンします。

個人的なことでいえば、
もっともっと自分の思ったものを人に伝えていくために広告の勉強をしていきたいと思っていますし、
趣味にしている写真をもっと本格的に勉強したいと思っています。

吉川:
旅を続けながら、ビジネスチャンスがあればそれを形にしていきたい。
今はそう思っています。
これは2012年の目標です。

やっぱり旅をしながら楽しいことは、あらゆる方向に目がいくチャンスがあるので、
意外と想定していなかったようなビジネスチャンスがバンバンでてきます。

こういったものをしっかりと興味にとどめず、一歩踏み込んで形にしていくプロセスは非常に楽しく、
今年は南米を中心にさまざまなビジネスに触れ、自分達の思いを形にしていきたいと思っております。

帰国後に関してですが、やはり世界と日本にある面白いサービスやモノを双方向に伝達できるような生活を送りたい。
その第一弾として、今回始めるスパニッシモをしっかりと軌道にのせるため、そこに専念する予定です。

最後に、日本の若者にメッセージをお願いします。


有村:
最近後輩や同期から「お前はやりたいことやってていいな!」という言葉をよくもらうようになりました。
僕はその度に「ん?どういうことなんやろう?」って考えてしまいます。

本当に自分がやりたいと思っていることがあったら、今この瞬間にやるべきだと思います。
「でも…」とその先に続く言葉がいっぱい思い浮かんでくると思いますが、自分の純粋な気持ちとそれらを比べてみて果たして自分の気持ちを引っ込めるほどのものなのか、もう一度考えてみてください。

もし失敗を恐れているのであれば、失敗は次の成功へのステップだと思ってください。
どんな失敗がありえるのか、事前に想定できるのであれば失敗する可能性は減りますね!
もし相談している相手が、失敗するリスクばかりを話すのであれば、相談する相手を変えたほうがいいでしょう。

自分の思いを応援してくれる人を自分の周りに置くことも大切です。
たいていのことは本気で壁にぶつかれば、意外と開くものです。
2012年、始まったばかりですし、今年こそ自分がやりたいことに挑戦してみる年にするってのはどうでしょう?

吉川:
同じ若者として思うことは、自分の興味/関心を深めてみることで、意外な結果がたくさん待っているので、なんとなく興味を持ったことでも迷わずチャレンジしてほしいです。

自分も散々失敗をしてきて思うのですが、
何事もチャレンジすることで、見えてくるベクトルが毎回違い、
そこでの困難や、それを乗り越えた経験が結果として自分にとって大きな財産になっています。

今回のスペイン語事業も一ついい例です。
最初はなんとなく好奇心から「このアイディアって、いけるんじゃね?」くらいにしか思っていなかったのですが、
やはり仕事として向き合うにつれ、その業界の知識や、アイディアもどんどん沸いてきました。

ほんの3ヶ月前まではただの旅人だったのですが、
一歩踏み出して、チャンスを形にしようと実行することで、
こうして今までに無かった出会いや経験をたくさんする良い機会となっています。

あの時あれをやっていればよかったと思わないためにも、
今この瞬間に集中して、自分にできることはどんどんチャレンジしてほしいと思います。

以上、ご回答ありがとうございました!

あとがき

彼らの最も凄いところは実際にアイディアをカタチにしたというところです。
僕もグアテマラにいた時に、スペイン語のオンラインレッスン事業はビジネスとしてアリかもなぁと思ったのですが、結局、僕はやらなかった。
しかし、彼らは実際に動いた。この差は天と地なのです。

アイディアというのは確かに大事ですが、アイディアだけでは価値はゼロに等しいです。
アイディアに行動が伴って、初めて価値が生まれるわけです。
同じアイディアを思い浮かべる人は日本人だけでも同時に100人はいて、世界全体では1000人を超えるのでしょう。いかに早く、アイディアを具現化するのか、それが肝です。

素直に彼らを尊敬すると共に、僕自身も旅中に温めたアイディアの実現に早く取り組みたいと刺激を受けました。
旅中に起業してしまうという事例はまだまだ少ないですが、彼らを皮切りに、多くの事例が出てくると世の中がもっと面白くなると思います!


さてさて、彼らのサービス、スパニッシモは1月21日にサービスインです。
これを機会にスペイン語を学ぼうと思っていた皆さん、お試しいかがでしょう?
スパニッシモの今後もそうですが、彼ら自身の今後についても要チェックです!

太田英基

参考:
スパニッシモWEB:http://spani-simo.com/
ロハスパッカーズWEB:http://www.lohaspackers.com/

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