僕がこれまで旅してきた街の中でも大好きな街のひとつ、スペインのバルセロナ。
サッカー好きな人は勿論、旅行好きな人にもその名は知られているでしょう。
ここには海も、山も、綺麗な街並みも、そして陽気な人々もすべて在ります。
建築家ガウディのサグラダ・ファミリア教会も今も尚建築中です。
そんなバルセロナにて、
自身で起業しヨーロピアン向けに留学ビジネスに取り組んでいる森本さんにお逢いしました。
1975年生まれ
大学卒業後、東京で3年間働いた後、ワーキングホリデービザでカナダへ
2001年、モントリオールで就職、移住を決意し、カナダ永住権の申請開始
2002年、職場で知り合った同僚(現パートナー)と共に、ドイツへ渡航、起業準備開始
2003年、ベルリンにて Ad Worldwide GbR 設立
2005年、バルセロナへ移った後、新会社Language School Worldwide S.L. 設立
2011年、社名をTimpany Language Courses S.L..へ変更
現在の会社の事業内容について大まかに教えてください。
オンラインによる留学カウンセリング、語学学校の無料紹介、
入学手続きサポートを6ヶ国語(スペイン語、英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語、日本語)にて行っています。
※オフィシャルWEB:http://www.timpany.jp
森本さんの社内での役割・仕事内容を可能な範囲で教えてください。
【学校開拓】
定期的に行われるフェアを通じて、様々な語学学校のオーナーや代表の方とインタビューした後、
優良と判断した学校を実際に訪問し、査定クリアした語学学校とのパートナー契約を行います。
今までは基本的にこれらを自分自身で行っていましたが、昨年より少しずつ、
業務の一部を弊社のセールスマネージャーへ委任しはじめているところです。
【サイト構築】
弊社のWebサイトは、デザイナー、プログラマー、翻訳者等、
様々な人達と共にチームで運営していますが、私もその一人です。
サイトの基本構築(ワイヤーフレーム)がしっかりしているか、
ユーザーが見やすいサイトになっているか、サイトで出している情報が正確か、などのチェックをしています。
【経営管理】
これが1日の中で特に時間とエネルギーを費やしている分野です。
KPI管理、各マネージャーとのミーティング、
各スタッフのモチベーションやパフォーマンスを直接&間接的にフォロー、
その他諸々の経営業務を行っています。
なぜスペイン(バルセロナ)へ?
元々はカナダに移住する計画だったのですが、思いがけない予定変更で、
現在のパートナーとドイツのベルリンでの起業しはじめた約1年後、
バルセロナへ移る計画を少しずつ立て始めました。
プライベートな理由としては、より良い天候や生活環境などへの魅力、
またビジネス面での理由としては、
当初有限会社を設立するのに必要とした資本金がドイツは25,000ユーロ、
スペインはたった3,000ユーロという大きな違いがあったこと、
またその他諸々の利点があると思ったからです。
海外で働くという志向を元々お持ちでしたか?
Yes&Noです。
母が高校時代にアメリカで1年間交換留学した影響を強く受け、
当初は海外で働くというより、とにかく学生であるうちに海外に出てみることに強い興味がありました。
ですが、諸事情により学生時代の海外留学が実現できなかったことから、
まずは3年間日本で業務経験を積むことに専念し、その後ワーホリで海外へ行く方向へ計画変更しました。
ある程度の業務経験と語学力があれば、何とか最低1年間は海外で食べていけるだろうと思ったからです。
勿論、出来ることなら、よりやりがいのある仕事に就きたいとは思っていましたが、
出発時は、あまりに高い理想は持ちすぎず、
イザという時はウェイトレスの仕事でも何でもやってみるつもりでした。
なので、日本にいた頃、海外へ出たいと思っていた当初は、海外でバリバリ働くというより、
まずは1年間、日本以外の国でサバイバルしてみること自体に、興味があったのだと思います。
欧州で事業をするのに立ちはだかった困難はありましたか?
月並みですが、言語力で苦労しました。
これは特に、スタッフを雇い始めてから痛感したことです。
人を管理すること自体が初めてだった上に、自分の母国語でない言語で人を管理するのには、
とにかく苦労しましたし、今でも勉強&トライ&反省の繰返しです。
スペインと日本とで、異なる商習慣・労働条件等があれば教えてください。
スペインと日本とで特に異なるな、と思ったのは、
留学検討されている学生さんや保護者様達とのコミュニケーションの形です。
日本からの学生/保護者様の場合は、まずはサイトをご覧頂き、
様々な質問などまとめられた後、まずはメールを頂き、その後メールもしくはお電話にてカウンセリングを進める、というのが主なパターンですが、スペインからのお客様の場合、とにかくまず電話でお話することを重要とされるお客様が多いな、と感じます。
また、お電話にてご相談頂く内容も、弊社のサイトに掲載されていないような、より詳細のご質問というより、
サイトをご覧頂き、電話番号を見つけて頂いたら、まずはとにかくお電話をされ、
質問はそれから考える、という方が結構多いのは、日本と特に違うところだと思います。
欧州の若者の留学事情について教えて下さい。
ヨーロッパ圏の人達は、若い方達の大半が、
一度は何らかの形で語学留学や外国での生活経験を積んでいます。
日本と違い、外国がすぐ近くにあるヨーロッパは、その点とても恵まれているな、と思いますが、
ヨーロッパ圏外への留学事情に関しては、国によってずいぶん異なります。
スペインやイタリアなど南欧の若者達は、ヨーロッパ圏外へでる方達がまだまだ少ないのに対し、
ドイツ、スイス、その他北欧圏の若者達は、びっくりするぐらい遠いところまでアドベンチャーを経験する若者が沢山いるな、と思います。
欧州の若者が留学する先、言語等において、日本との違いはみられますか?
これも国によって異なるのですが、スペインやイタリアの場合、
学校での英語教育にあまり頼らず、語学留学を通して英語を身につけられる方が多いです。
そのため、南欧圏の方達の留学先は、英語圏が大半を占めます。
それに大して中央/北欧圏の方達の場合は、母国語と英語が似ていることや、
学校教育だけでもある程度の英語力が身につけられることから、
英語圏だけでなく、第2、第3外国語を学ばれる方が多く、
最近は特にスペイン語圏への留学が人気を集めています。
日本からの留学生については、弊社オフィスが欧州にあるためかもしれませんが、
意外と英語圏以外での留学相談をされる方が多いです。
英語が出来る出来ないに関わらず、中学から大学まで、そして受験と、
日本でとにかく面白くない英語漬けの日々が重なったせいか、
「英語はもう沢山!」という理由で、
まずは英語以外の言葉から留学スタートされる方が、少しずつ増えてきている気がします。
それは自身の日本での英語経験からもよく理解できるし、私個人的には、それもOKだと思います。
英語は勿論大事ですが、海外=英語圏ではないですし、
どの国であっても、海外で貴重な経験を積む第一歩を、
何らかの形ではじめて頂くこと自体に意義があるのでないかと思います。
海外で働くこと、生活することの魅力について教えて下さい。
どんな形であれ、海外に「単独で」長期間出てみることは、
自身の人生にとって何よりのアドベンチャーだと思います。
自分が今までやってきたこと、学歴、職歴、家族環境を知っている方は、そこには誰もいません。
今まで自分が日本で築いてきたと思っていたものは、
本当に自身の体に蓄積されたものを除き、そこでは全てリセットされます。
友達づくりから家探し、語学勉強、仕事探しなどの一つ一つを、
全て自分で何とかやっていかなければなりません。
ですがそのプロセスを通じて、
日本では考えもしなかった可能性や、
自分自身でも気がつかなかった自身の才能や能力を見出すことのできる、とても大きなチャンスです。
勿論、海外に出る方全てに成功が約束されているわけではありません。
ですがもし、海外に出てみようかどうしようか、真剣に悩んでいるのであれば、
間違いなく海外にまず出てみることを強くお勧めします。
今後の予定や将来の夢(目標)について教えてください。
現時点ではあまりに大きな夢なので、弊社スタッフ以外にはまだ、あまり大っぴらに公表していないのですが、
西ヨーロッパ内での優良な留学エージェント、Quality Agent としてのトップレベル、
できることならトップ5入りを、いつか目指したいと思っています。
Quality Agent というのは、単に年間の生徒数や会社の規模を誇る Big Agent でなく、
今ぐらいの少人数スタッフでも実現可能な、より質の高いカウンセラーや優良語学学校の紹介、
より良い学校スタッフとのコミュニケーションなど、
今やっていることをさらにより良くしていきたいです。
また現在、2人の子供がいるので、仕事に情熱をそそぎつつも、
子供と一緒に過ごせる時間をきちんと確保し、その両方を何とか上手くやっていきたいです。
これが結構、想像以上に複雑で、とにかく試行錯誤くり返しの毎日で頑張っています。
最後に、日本の若者にメッセージをお願いします。
カルロス・ゴーンのお祖父さん、Bichara Ghosn氏は、
彼がまだ13歳だった頃、たった一人で祖国レバノンからブラジルへ旅立ったといわれます。
ベイルートの港から約3ヶ月の渡航を経てリオデジャネイロに到着した彼の持ち物は、
リュックサックの中身以外は無一文同然、かつアラビア語しか話せませんでした。
そんな身で、何とかしてリオからエルドラドへ移り、そこで文字通り、まったくのゼロから新しい人生をスタートさせました。
小さな仕事からコツコツはじめ、努力に努力を重ねた後、
彼が40~50代になる頃には、いくつもの大きな会社の経営者にまでなられたそうです。
(参考文献:Shift: Inside Nissan’s Historic Revival, Carlos Ghosn)
そんな彼を、才能に恵まれたアントレプレナーとして、自分とは全く別の人として見て頂いても結構です。
ですがそんなBichara氏の、少年時代の勇気と努力、また自分の可能性を心から信じる力に少しでも魅力を感じられたのであればぜひ、
自身の秘められた可能性にもう少し目をむけ、新しい世界に飛び込んでみてはいかがでしょうか。
はじめの一歩が、一番勇気がいります。
でもそのはじめの一歩を踏み出すことができれば、次の2歩、3歩目は、意外と上手くいくものですよ。
自分の人生や将来に、何らかの夢を持っている方、ぜひそれを大切にして下さい。
そしてその夢に向かって、最大限チャレンジしてみて下さい!
以上、森本さんからの回答になります。
あとがき
カルロス・ゴーン祖父の話、刺さりました。
そんなストーリーがあったとは知りませんでした・・・。
僕がお逢いした時も森本さんはサムライバックパッカープロジェクトにも共感してくださり、
もっと日本人が海外に出るべきだと森本さんの想いを熱く語ってくれました。
森本さんのお客さんはヨーロッパの人達向けが中心とのことです。
常に”留学”という仕事を通じてヨーロッパの若者と接している森本さんには、
日本の若者にもっと海外に出て欲しいという気持ちが強くあるのではないかと思えました。
僕も自分自身の旅の経験のアウトプットや、フィリピン英語留学の経験アウトプットによって、
日本の若者が外に飛び出すキッカケをもっと創っていかなくてはと改めて思いました。
海外で起業をしても、なかなか現地人向けにビジネスを展開している日本人は多くはありません。
森本さんはそこに取り組んでいられるので、是非とも日本人経営者としてトップ5エージェントを叶えて欲しいです!
森本さん、御協力ありがとうございました!
太田英基
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