黒須さんは若くして、ニューヨークにて留学会社を起業し、奮闘されています。
日本の閉塞感に将来が見えず、高校卒業後にアメリカに渡り、
そこから様々なことを経験して来られたようです。
自己紹介とこれまでの歩みについて教えて頂けますか?
黒須 智博。1984年4月3日埼玉県上尾市生まれ(現27歳)。ニューヨーク在住。
21歳の時に留学をするため渡米。
22歳のとき現地のベンチャー企業の立ち上げに携わる。
24歳の時(2009年1月)に起業し、ニューヨークの現地留学会社ILIS(アイリス)を設立。
25歳の時に米国NPO法人JaNetの最年少理事に就任。
26歳の時に日本の地酒を海外に展開するコンサルティング業務を始める。
ニューヨークにおいて、毎年60回以上のイベントやセミナーを運営。
また、日系企業を支援する専門家のネットワークABPSメンバー。
現在、米国を中心とした人材・商品の海外進出コンサルタントとして活躍中。
ILISウェブ http://www.ilisny.com/
現在の仕事内容を教えてください。
ニューヨーク現地で留学事業を展開。
ウェブサイトをベースに学校の紹介・住居手配・空港送迎・現地サポートなど、留学生のトータルケアをしています。
また、海外へのインターン人材の派遣や、日本の商品を海外展開するコンサルティング業務も行なっています。
現地の地域活動としては、
現地日系NPOでニューヨークに住む日本人の夢や仕事を様々な活動を通して支援しています。
また、日米両国をつなぐボランティア団体や現地の日系学生団体の支援なども行っています。
ニューヨークの日本人の留学事情について教えてください。
英語が話せてあたり前の時代に入り、留学生のニーズも大きく変化してきています。
留学中に、ただ英語の勉強をするだけではなく、
現地の企業へのインターンや新しいスキルの習得をされる方が増えてきています。
全体のマーケットとしては、
韓国や中国といった日本以外のアジア圏の人々の留学生が年々増え続けているのに対して、
日本人の留学生は年々減少傾向にあります。
元々、海外で働きたいという志向はお持ちでしたか?
将来、「国際舞台で活躍したい」という漠然とした思いは昔からありました。
ただ、日本にいた時は自分が何をしたいのか、
将来どうしていきたいのか全く見えていなかったので、
海外で本格的に勝負していこうと思ったのは、留学してからです。
海外に出て変化した価値観はありますか?
大きく変わったと思います。
僕が日本にいた頃、培ってきた価値観は海外に出て、根底からひっくり返りました。
海外に出る事によって、日本という国や自分自身を客観的に見る良い機会となり、
そこに大きな発見と気づきがありました。
何より、多くの人種と文化に触れることにより、「価値」の基準が全く変わってしまいましたね。
僕がいま、こうして自分らしく生きられていられるのも海外に来た事が大きかったと思っています。
アメリカに来て、一番の困難は何でしたか?どのようにして乗り越えられたのでしょうか?
一番苦労したのは、起業する前と起業してからの数年です。
当時、アメリカで自ら起業しようと心に決めて、準備を始めた時は、
お金も知り合いも社会経験も起業の知識も全てが全くゼロの状態からのスタートだったので、
それら全てを培っていくのに大変苦労しました。
日本にいた時は、起業する事など考えたこともなかったので、
アメリカの会社の事だったり、運営の仕方だったり、全く理解しておらず、
様々なセミナーや本を通して一から勉強しました。
また当時、お金は飲食店で働きながら、生活費と会社の運営費をまかなっていました。
アメリカは自由な国である分、自分のとった行動に対する責任の重さが大きく違います。
行動しなければ、何も得られないし、ちゃんと調べないと、それだけリスクを背負う事になります。
ただ、なんとなく生きようと思えば生きられるし、
もし何もしなければ、誰も助けてくれません。
私達日本人は、アメリカではマイノリティーであり、外国人です。
昨今は移民に対してますます厳しい時代となり、現地で生活する外国人は非常に苦労しています。
そんな中でも、自ら考え、アクションを起こして行く事が、大事だと思います。
ニューヨークで働く、生活する魅力を教えて下さい。
ニューヨークの魅力は、なんといっても「出会い」だと思います。
世界の中心地として、世界中から人が集まってきます。
日本人だけでも日本全土から人が集まりますから、
それだけ多種多様なバックグラウンドを持った人達がいるわけで、
人生が変わるような出会いがそこら中に転がっているんです。
そんな僕も、ニューヨークでの「出会い」で大きく人生が変わった一人です。
今後の予定や将来の夢(目標)について教えてください。
今後は、積極的に日本の地域振興に携わっていきたいと思っています。
いま日本は、地方が衰退の一途をたどっています。
これからの日本国内のマーケットはだんだんと縮む一方で、
それを打開するための方法の一つとして、
積極的に海外に目を向けていく必要があると考えています。
海外に、日本の地方の優れた製品を売っていくことで、
地域の活性化につなげたいと思っています。
僕は、生まれ育った地元が大好きなので、
その地元の活性化のために貢献したいという思いがあります。
日本の地方には、すばらしい技術や文化、食がたくさんあります。
それらが、これからの日本を活性化する鍵になってくると思います。
最後に、日本の若者にメッセージをお願い致します!
「何をしている時が楽しいですか?」
「将来何がしたいですか?」
ありきたりな質問ですが、意外と自分自身の本当の気持ちに気づいていなかったりします。
僕は、自分らしく生きるという事は、純粋に
「楽しいと思えることをする」「やりたいと思う事をやってみる」事だと思っています。
変化の激しい現代においては、
いままで正しかった事が、正しくなくなったり、あたりまえの事があたりまえでなくなってきています。
ましてや、海外との距離がますます近くなり、情報もネットを通じて容易に手に入れられるようになり、
価値を与えられる時代から自分自身で作っていく時代に変わってきていると感じています。
いま自分の持っている殻から一歩飛び出したとき、そこには大きな変化があります。
我慢せず、後悔せず、やりたい事にチャレンジしてみて下さい。
以上、黒須さんのご回答になります。
黒須さんは高校卒業後にアメリカに渡ってきて、起業し活動を続けています。
しかし、そんな黒須さんの将来の目標は日本の地域振興とのことでした。
僕にはそれが意外にも、なんだかしっくりと来ました。
よく、海外に出た日本人は”日本を捨てた”というような表現をされることがあります。
勿論、実際にそういった人もいることでしょう。
しかし、海外に出た日本人の中にも、
再び日本に戻って、培ってきたモノを日本に還元したいと考えていたり、
海外にいながらも、いつも日本や日本人の為に出来ることを考えたりしている人が多数います。
例えれば、鮭みたいなものかもしれません。
生きるモノは皆、生まれ故郷を想うのは当然のことでしょう。
日本社会で生きることに一度は将来が見えずにアメリカへ飛び出した黒須さんも、
今では日本の為にという気持ちが強いようです。
それは逆に日本を飛び出したからこそ得られた感情だったのかもしれません。
親の有難みと同じで、いつも日本にいては日本の良さや、
日本人であることを気づきにくいのかもしれません。
黒須さん、御協力有難うございました!
太田 英基
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