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サムライレポート

シリコンバレーで闘うベンチャーキャピタリスト、大澤 弘治氏(Global Catalyst Partners)

2011/03/30  

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(※写真は南米の標高4000メートル級、路面状態劣悪なアタカマ高原を力強く駆け抜ける日本のトヨタ車。)

今回、とある先輩の紹介で、
シリコンバレーにてベンチャーキャピタルを経営する大澤さんとお逢いしました。
僕からすればとてつもない大先輩なのですが、非常に謙虚な御方で、
僕のような若僧にも壁を感じさせずに、色々と貴重なお話を聞かせてくれました。

大澤さんはGlobal Catalyst Partnersというベンチャーキャピタルを共同創業されて、
日々投資業務を行っていられます。

大澤さんは元々、大手総合商社の駐在としてシリコンバレーにいらっしゃったようです。
そこでシリコンバレーという場所の雰囲気や勢いを感じられて、
シリコンバレーに残ることを決意されたとのことでした。

シリコンバレーにて長年、ベンチャー企業への投資活動をされている大澤さんに、
幾つかの設問に御回答を頂いたのでご紹介いたします。

投資環境としてのシリコンバレーの魅力は何でしょうか?


シリコンバレーはベンチャー起業インフラが完備されており、
ベンチャー起業数、投資額等どの指標をとっても世界一の起業のメッカです。

こうした起業に最適な環境を求め、米国内のみならず、
中国・インド・イスラエル・イラン・ロシア等々から才能に溢れた優秀な人材が成功を求めて集まって来ます。

人材や資金が集中している為、当然競争も激しく弱者は淘汰されていく厳しい環境ではありますが、
その中で生き残っていく会社の中には、
これまでの常識やビジネスを根本から覆すような革新的な企業が生れてきています。

大げさでは無くシリコンバレーは無限の可能性を秘めた場所と言え、
ベンチャーキャピタリストとしても厳しくもやり甲斐のある場所と言えます。


大澤さんご自身がシリコンバレーで働くことの魅力についてはいかがですか?

私にとっての最大の魅力は、
ベンチャーに係わる極めて優秀な人達から受ける刺激と、
自身の未熟さを感じざるを得ない環境です。

起業家、ベンチャーキャピタリスト、弁護士、会計士、大手企業幹部、大学教授、コンサルタントなど、
ベンチャー企業の周りには多くの才能が集まり、
有望なベンチャーを成功に導く為に力を結集します。

彼らの知見や発想に触れるたびに、多くの刺激を受け、
また同時に自分の力の足りなさに自己嫌悪に陥ります。

しかし、それがバネとなり更に自己啓発しなくてはいけないという意識が芽生えてきます。

こうした環境の中で、
傍観者では無くプレーヤーとして身を置き仕事が出来ている事を嬉しく思っています。


海外に興味関心の薄い若者が増えていることについていかが思われますか?

私はGlobal Catalyst Partnersを創業する前は総合商社に勤めていた為、
海外企業とビジネスをする機会に恵まれ、
米国に拠点を移す際にも大きな抵抗感も無く現在に至る事が出来ました。

米国での生活も18年目を迎えますが、
日本に居て見ていた日本と海外から見る日本は必ずしも同じではありません。

これは考え方や視点が、ジャパン・スタンダードをベースとしているのか、
グローバル・スタンダードをベースとしているのかに由るのではないかと考えます。

日本の若い世代の方々も、留学やビジネスで海外に出る機会に恵まれた際には、
是非それを積極的に捉えて頂き、視野を広げる機会として貰いたいと思います。


起業志向、ベンチャー志向を持つ日本の若者にアドバイスがあればお願いします。

自らベンチャーを起業したり、ベンチャー企業に参画される際には、
大きな夢や希望を持って臨まれる事でしょう。

ただ同時に、先が見えない事に対する不安な気持ちもあって当然です。

実際に、ベンチャー企業に限らず大手企業に於いても、
傍からは大成功している様に見えても、実態は問題と失敗の連続です。

肝心なのは、夢や信念を貫き通す強い気持ちと、
次から次へと直面する失敗や問題に対応し続ける継続する力です。

この二つを胸に秘めリスクを取ってチャレンジした人には、
必ず何らかのリターンがあるものと信じています。


大澤さんの今後の予定について教えてください。

Global Catalyst Partnersはシリコンバレーのベンチャーキャピタルで、
当然シリコンバレーのベンチャー企業が主な投資対象ではありますが、
これまでに日本・中国・インドのベンチャー企業への投資も数社ではありますが行ってきました。

今後は日本を含めたアジアでの活動も拡大していきたいと考えています。

また、日本発の技術やビジネスが世界市場で認められる為の手助けも出来ればと考えています。


最後に、日本の若者に一言メッセージをお願いします!

誠に残念なことではありますが、
世界における日本のプレゼンスは日を追う毎に低下してきています。

またこの度の大震災・津波で計り知れない大きなダメージを受けました。

政治・経済など様々なレイヤーでのリーダーシップの欠如、少子高齢化等、
その原因は多岐にわたりますが、
一つ確かな事は政治の世界でもビジネスの世界でも、個々人がそれを構成しているという事です。

「社会が悪い」、「会社が悪い」、「政治が悪い」と問題の原因を環境のせいにしてしまう事は簡単ですが、
実はそれを構成する各人の頑張り無しには何も改善されません。

これからの日本の盛衰に最も影響を受けるのは若い世代の皆さんです。
色々な面で厳しい環境だと思いますが、
簡単に投げ出さず一歩一歩前進していきましょう。

以上、大澤さんからの御回答でした。

シリコンバレーという環境にて長年過ごされてこられた大澤さんの言葉には、
考えさせられることが多く在ります。

特に最後のメッセージの部分は、本当にひとりひとりが自覚して、
行動に移していかなくてはならないことだと痛感しています。

とてもシンプルなことなのですが、
実際にそれを行おうとすると、とても困難なことでもあります。

いつの時代も「最近の若者は~」と批判する大人は沢山いますが、
その若者が何故今、世の中に存在しているのかを考えてみると、
それは大人が築いてきた社会システムが原因だったりするものです。
そんな僕も既に25歳。大人の仲間入りをしています。

これからは僕らの子供、孫の世代が良く育ってくれる為に、
「最近の若者は素晴らしいね!」と大人世代が言える為に、
個々人が強い意識を持って、それぞれの領域で改善に取り組んでいくことが必要でしょう。

そんなことを大澤さんは僕らに訴えかけてくれているのだと思います。

また、大澤さんはDigital Divide DataというNPO法人の理事も務めております。

カンボジアとラオスを拠点として活動するこのNPO法人は、
IT技術を活用したデータエントリーサービスを提供し、多くの現地の貧困層の若者を雇用し、
貧困の循環を断ち切るという活動に取り組んでおり、既に創立して約10年となるそうです。

社会起業もビジネスと同様で、
スケーラビリティ(事業拡大)とサステイナビリティ(継続性)がとても大切だと、大澤さんは仰っていました。

事業を展開し、正当な利益を得る。
得た利益で更なる拡大をすることが出来、より多くの人を雇用していくことができる。

よく、NPOで利益を得ることがタブー視される不思議な風潮が日本にはあったりしますが、
大切なのは得た利益の使い道だと思います。

大澤さんからは本当に多くのことを学ばせて頂きました。
お時間と御協力、誠に有難う御座いました!

シリコンバレーのベンチャー企業にも負けないアイディアと戦略をお持ちの方、
是非一度、大澤さんにコンタクトしてみてください。

きっと大きな力となって頂けるのではないかと思います。

太田 英基

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