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サムライレポート

学生起業から大企業へ。アントレプレナーからイントレプレナーへ。本間 毅氏(ソニー米国支社)

2011/05/31  

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イエルネットというベンチャー企業をご存知でしょうか?

今から約10年前に学生起業をして、
イエルネットというベンチャー企業を経営していたのが本間毅さんです。

(参考記事:『年商2億円稼ぐ学生社長–中学時代からの夢をネットで実現』by日経BP:1999年11月)
http://www.nikkeibp.co.jp/archives/086/86382.html

そんなアントレプレナーだった本間さんは、
2002年に創業したイエルネットを解散し、2003年の頭からフィールドを変えました。

それはソニーという日本が世界に誇るグローバル企業でした。

本間さんはブログでご自身のことを、イントレプレナーと呼んでいます。
学生起業をした本間さんが大企業のソニーへ。
そして今はアメリカで仕事をされています。

実は本間さんと僕は同じ中央大学商学部の経営学科出身というご縁があり、
ニューヨークで偶然(必然?)にもお逢いできることになりました。

アントレプレナーから、イントレプレナーへと変身を遂げた本間さんをご紹介します。

自己紹介とこれまでの歩みについて教えて頂けますか?


鳥取で大学入学まで生まれ育ちました。

経営者の祖父2人(父方・母方)を持ち、中学生時代から経営者になることを夢見ており、
大学も中央大学商学部経営学科を選んで入学しましたが、
実務的な学習への期待とは裏腹に座学的な学問の連続と、
周囲に起業家志望者がいないこともあり、自ら起業することを決意しました。

1995年、大学二年の時、インターネットが黎明期を迎えており、
当時の唯一の資本である自分の体とマック一台で始められる仕事ということで、
WEBサイトの作成サービスを個人事業として始めたのですが、
これが成長軌道に乗り1997年に「イエルネット」という名前で法人化することが出来ました。

折からのネットビジネスの急成長期を経て、
ベンチャーキャピタルなどからの出資を後ろ盾に、社員50名まで成長しましたが、
その後のネットバブルの崩壊の煽りを受けて上場を断念したことと、
景気後退などの影響を受け、2002年に他社に営業譲渡してイエルネットは解散しました。

その後、イエルネット時代のクライアントであったソニーがネットビジネスを強化するということで
ネットビジネスの事業部に戦略スタッフの一員として入社し、
2003年から5年間、様々なネット事業の事業戦略立案と、
新たなネットサービスの立ち上げ、ネットを中心としたグループ間の連携推進を行いました。

2008年には念願かなってアメリカ赴任となり、
現在はカリフォルニア州サンディエゴで電子書籍の事業戦略の仕事をしています。


現在の仕事内容と、仕事の魅力について教えてください。


現在手がけている電子書籍関連の仕事は、一昨年から急成長を遂げた市場であり、
各方面からの注目度も非常に高い業界の一つです。

またハードウエアに限らず、
ソフトウエア、サービス、コンテンツに到るまで事業領域が多岐に渡っており、
新たなビジネスモデルを構築する面白さがあります。

またこの業界は、現時点ではアメリカが一番進んでいるため、
アメリカにいることでグローバルかつ最先端の業界動向に触れつつ、
またそのプレイヤーの1社として仕事をしていることにやりがい
を感じています。


起業されていた本間さんは何故、企業(ソニー)に入ることを選んだのでしょうか?


まず普通の人は、大企業からベンチャー・独立という道を選びますが、
その逆は珍しいので面白い
かなということと、
ベンチャーからベンチャーを渡り歩くのではなく、
全く違うステージに立つことで自分にとって新たな成長機会を得られる
と考えたからです。


起業志向の方が大企業で働くことで得られるモノについて教えてください。


正直、今すぐ起業したいと思っているのであれば、ぜひチャレンジされたほうが良いと思いますが、
起業家マインドを持って大企業の豊富なリソースを活用することで、
大企業の中でも新たな価値を生みだせる
と思います。
(ただし、自らの努力と理解のある上司、恵まれた環境が必要ではありますが)


イントレプレナーシップという言葉を本間さんは使われていますが、どういう意味を込めて使われているのでしょうか?


アントレプレナーシップというのは起業家精神と訳されますが、
私はそのアントレプレナーシップを大企業に持ち込むことで新たな価値創造ができると思っています。

イントレプレナーシップというのは大企業の内部に存在する起業家精神
という意味で使っており、
大企業の中でもそうした精神を忘れないようにという自分に対する思いも込めています。


元々、海外で働きたいという志向はお持ちでしたか?


ありました。

起業して間もないころ訪れたカリフォルニア州バークレーのネットベンチャーの様子が忘れられず、
いつかこういう所で自分も仕事をしてみたいとずっと思っていました。

アメリカへの憧れと、グローバルな仕事をしたいという思い両方ですね。


実際に海外に出て、一番の困難は何でしたか?


色々とありすぎて分かりませんが、
仕事で言えば、英語の壁(ビジネスレベルで使いこなせるようになるまでの苦労)や
アメリカの企業カルチャーを理解するまでの難しさなどでしょうか?

日本で当たり前に出来ていたことが、
同じレベルで出来なくなることに対するもどかしさや焦りがありました。


また、それをどのようにして乗り越えられたのでしょうか?


今思えばどうやって乗り越えたのか覚えていません。
日々取り組んでいるうちに気がついたらどうにかなっていたようです。

つまり秘策やマジックはないってことですよね。


海外で働く魅力をどのような部分で感じられていますか?


自らの視点をグローバルに持てること、
日本を客観的に見ることでよりその良さや問題点に目が行くことでしょうか。

日本で抱えていた多くの悩みや問題が小さく思えてきて、
それ以上に大きな課題ややりがいに出会えることだと思います。


今後の予定や将来の夢(目標)について教えてください。


今は日々の仕事を通じて全力を尽くすのみですが、
いつになるのかわかりませんが、将来の目標としては、世界に通用する日本人をたくさん育てて、
日本を希望にあふれた国にするための役に立ちたい
と考えています。
特に起業家の輩出を手助けしたいと思います。


最後に、日本の若者にメッセージをお願い致します!


情熱と信念を持って、自分の気持ちに正直に生きてください。

出来ない理由を見つける時間があれば、一歩でも前へ進む方法を考えてみてください。

他人への感謝と努力を怠らなければ、いつかきっと自分の夢に近づけるはずです。

 
以上、ご回答ありがとうございました!

一般的によく聞くのがベンチャーと大企業は全く異なる生き物であるということ。

僕もベンチャーでしたので、ベンチャーのなんたるかは少しだけわかっているつもりですが、
大企業へは属したことがない為にそこは僕に取っては未知の世界です。
(聞いた話等でのイメージは勿論ありますが。)

本間さんはそのどちらも経験をされている分、
僕には見えない、気づけないモノを多く持っているのではないかと思います。

また多くの人が志や野望を抱きながらも数年働いていると、
元々持っていたエネルギーを失っていくものです。

(勿論それは外部環境の変化や、自身の変化もあることと思いますが)

そんな中、ソニーに入社して7年以上が経つ今でも、
イントレプレナーとして強い向上心を持って活動を続けられる本間さんは、
ソニーの大きな原動力のひとつとなっているのではないでしょうか。

無数の歯車の中で埋もれてしまう人が多い大企業の中では貴重な存在なのではないでしょうか。

ソニーという世界的大企業の中で、
ソニーのリソースを存分に活用して事業を推進することができれば、
正直にいって実現できることはベンチャー企業とはスケールが段違いでしょう。

但し、組織が大きい分、その手綱を取るのが非常に難しいことだと思われます。

ですが、そこには本間さんがベンチャーで培ってきたリーダーシップと、
挑戦する姿勢
によって乗り越えられて、ここまできているのではないでしょうか。

本間さんは現在、電子書籍事業に取り組んでらっしゃいます。
日本ではこれからの市場ですが、アメリカでは既に熾烈な競争の真っ只中です。

勿論、電子書籍事業の舞台はアメリカだけでは無いですし、
日本だけでも無く、この世界中が舞台
です。

これからソニーのリソースを利用して、
本間さんがソニーの電子書籍事業をどう成長させていくのか要注目です!

また本間さんは近い将来、日本の起業家を育てる仕組みを創りたいとおっしゃっていました。
ソニーのイントレプレナーとしての本間さんも、
日本の起業家(後輩)を育てたいと思う元ベンチャー経営者の本間さんにも、
どちらも今後に期待してしまうのは僕だけでは無いでしょう!

本間さん、お忙しい中、ご協力有難う御座いました!

参考:本間さんのブログ『イントレプレナーの視点 in California

太田 英基

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