(※このコラムは2010年5月~8月のフィリピン留学滞在時に書いたモノを転載しています。)
僕のフィリピン人の英語講師の先生のひとりが、
週末はストリートチルドレンの支援活動をしているという。
そして、最近は友人が立ち上げた英語学校の手伝いもしているとのこと。
その英語学校がちょっと一風変わっていた。
フィリピンには多くの英語学校があるのだけど、
そこは今年の春に始まったばかりで、まだ実績もほぼ無い。
少し前まで、韓国人学生が13名いたらしいのだけど、
今は期間が終わってしまい、0名とのこと。
そこで、僕の先生が、僕に日本人生徒の獲得を手伝って欲しいと言われたので、
まだ何もわからないままですが、見なくては始まらないと思い話を聞いてきました。
どうやら韓国や日本人、中国人の留学生を受け入れる。
彼らからは低価格だが、学費を頂く。(欧米留学と比較したら格安。)
そして、彼らの留学費用を利用して、
満足に教育を受けることのできない子供たちの費用に充てるとのこと。
英語講師たちは全員プロフェッショナルだが、全員ボランティアで給与ゼロに等しい。
留学生のステイ先もこの学校の発起人の一人であるオーナーの持ち物とのことで、
最低限の費用で済むとのこと。
つまり、この学校はほぼボランタリーで成り立っている。
僕の先生が言うには、近い将来NPO化を目指しているとのこと。
なんでこの活動をしているのかを色々聞いていると、凄い話が出てきた。
フィリピンは小学校と高校がある。(中学校が無い変わりに高校が4年間とのこと。)
いずれもパブリックスクールと、プライベートスクールの2種類がある。
パブリックスクールの学費は基本は無料で、
教科書等の雑費で年間5,000円前後とのこと。
プライベートスクールは学費もあり、
雑費込み年間おおよそ50,000円前後とのこと。
しかし、国民の75%以上が月給30,000円以下と言われているフィリピンでは、
プライベートスクールに子供を入学させれる家庭は限られている。
ましてや、ストリートチルドレンの子供達はお金を払えるわけもない。
そんな彼らをプライベートスクールに入学させて、
勉強する機会を提供しようとしているとのこと。
そこで僕は質問をした。
『なんで学費が高いプライベートスクールを選ぶのか?
パブリックスクールの方が費用が低価格だから、
より多くの子供たちに機会を提供できるんじゃないかと。』
そうして、先生はこう答えた。
フィリピンのパブリックスクールは、
1クラス80人~100人に対して先生が一人で、
子供たちが満足な教育を受けられないのだという。
聞いた話では、午前の部・午後の部と別れていることも当たり前のようで、
日本の子供たちと比較すると、何分の1の教育機会になってしまっている。
想像しただけで、とてつもない。
1クラスに100人って、、、1つの椅子に2人座ってもギリギリじゃないか。
こんなんじゃ授業自体もままならないのは見えている。
それだけ学校の先生の人数が不足しているようだ。
人口ピラミッドが日本の少子高齢化とは真逆を行くフィリピンなので、
子供たちは大勢いる。
その子達はまともな教育を受けられないままで、
このままではフィリピンの教育レベルはドンドン低下していくばかりだと。
なぜ、こんな状況になっているのかと尋ねると、
それは先生が不足しているからとのこと。
しかし、実際にはフィリピンには沢山の先生がいるが、
ほとんどがGO ABRORD(海外に働きにいく)とのこと。
『政府が先生の給与を払えないからだ。』と僕の先生は言う。
いや、そんな馬鹿な!政府が教育にそのお金払えないってどういうこっちゃねん!
と思いつつも、時間が来て、疑問が残ったままとりあえずはお開きになる。
今考えると、
確かに優秀な人達はフィリピン国内よりも、
海外で働くほうが格段に良い給与を獲得できる。
そう考えると、国内での教師の給与が、
優秀である先生達の求める給与水準に至ってないのかもしれない。
そして、それに応えれる程の余裕が今のフィリピン政府には無いのでしょう。
しかし、最後に先生は僕に言った。
『新しい大統領が多くのことを約束してくれた。
それが上手く行けばきっと変化が起こる。
しかし、大統領ひとりでは何も変わらないから、私たちも一緒に頑張るの。』
僕は素直に凄いなと思った。
日本人でこういった発言をできる人がどれだけいるのだろうか?
僕らはいつも他人任せで、当事者意識を見失いがちである。
僕はこの志ある英語学校の為に、
今の僕ができることを働きかけてみたいと思う。
※2010年12月現在、残念ながら上記の学校活動は諸事情により保留中とのこと。