青年海外協力隊。
名前を聞いたことがある人は多いことでしょう。
むしろ、知らない人のほうが珍しいのではないかというぐらい、普及している言葉だと思います。
青年海外協力隊は国際協力機構(JICA)が実施する海外ボランティア派遣制度です。
青年海外協力隊について詳しくはウィキペディアをどうぞ。
こちらは青年海外協力隊の公式WEB。
しかし、その内容・実態を把握している人はどれぐらいいるのだろうか。
というわけで、ちょこっとだけ僕が思うことを。
『世界も、自分も、変えるシゴト。』というキャッチコピーで現在、
色々と宣伝活動中なのですが、ちょっと誇張し過ぎな気もします。
良くも悪くも、『自分を変えれるシゴト』であることは間違いない。
発展途上国の中でもインフラが全く整っていない農村などへ行き、そこで2年も生活をするのである。
特に国際協力を志す人には間違いなく素晴らしく貴重な経験だと思う。
僕も約2年の世界旅行の間に、何人もの青年海外協力隊員やJICA関係者と出逢い、
彼らの活動や組織の問題点などについて語り合ったものです。
キャッチコピーにある『世界も変えれるシゴト』かというと、そこはちょこっと疑問が残る。
もちろん、影響力の範囲とか深さとか、そのあたりまで考えると全てのアクションに意味があるから、
一概に否定することはできない。
ただ、ひとりひとりのボランティア隊員が大きな影響力を持てるような任務なのかというと、
なかなか難しい現状なのだと思う。勿論、目の前の状況を変えることから始めるのはとても大切なこと。
しかしながら、そんなに背負うことも気負うことも無いと思う。
青年海外協力隊は日本のODA(政府開発援助)の一環として行われているので、
「世界に貢献しています!」と日本政府としては強く訴えたいところなのだと思う。
でも、「貢献しにいく!協力しにいく!」と背負い過ぎることなく、
「学びにいく!世界のリアルを見にいく!」ぐらいの気持ちで挑んだらいいのではないかと思う。
青年海外協力隊に対して国税が投入されていることにアーダコーダ言う人達もいるが、
制度として存在しているのであれば、若いうちに途上国を経験してみたいと思う人には絶好のチャンスだと思う。
「甘いことを言いやがって!国税なんだぞ!」と言う人もいるかもしれませんが、
誰にでも頑張れば平等にチャンスある仕組みなので良いのではないかと思います。
あと青年だけでなく、シニアだっていけます。
青年海外協力隊、もちろん、諸々と見直しや改善は必要だと思います。
僕なんかよりも青年海外協力隊の様々なメリットやデメリットなどについては、
山本敏晴さんのブログ記事が大変参考になります。
さて、ついこの間、ルーマニアにて不慮の事故にて亡くなられた日本人女性がおりました。
言うなれば、青年海外協力隊のボランティア隊員たちも、いつ同じようなことになるかはわかりません。
実際に派遣先で命を落とす人もいるようです。
しかしながら、青年海外協力隊の隊員は様々なトラブルを最大限回避するために、
2年間の渡航前にミッチリと研修を受けます。
研修施設内では「ここは既に派遣先の途上国である」と研修スタッフに言われ、
深夜に部屋のドアノブがガチャガチャとなり、カギを掛け忘れた人がいるとペナルティ(減点)になるだとか。
その際にこう言うそうです。
「ここが派遣先で、部屋のドアを開けっ放しにしていたなら、強盗かレイプが起こっていたかもしれない。
しっかりと今から習慣づけなさい!」と。このような無数の教えを数十日間も叩き込まれるそうです。
話を聞いたところ、JICAの協力隊員へのリスクマネジメントやトラブル対策はかなりの情報量とノウハウ。
これは是非、海外旅行者にも可能な範囲で公開してもらいたいところである。
尚、青年海外協力隊の事前研修についてレポートされているのがコチラのブログ。
ただ、バッチリ研修を受けても、それでも派遣先でトラブルに遭遇する人は必ずといっていい程いるらしい。
任地でのミッションは勿論ある。それでも、まずは第一優先で命を大切に考えて欲しい。
隊員の皆さんには日本で待っている家族がいる、そのことを忘れないで頂きたい。
本日、10月1日。
多くの学生が内定式を迎えたことだろう。人生の新たな旅立ちである。
本日、10月1日。
僕の姉が今夜、青年海外協力隊員として中米に発ちます。
昔から、「南米最貧国のボリビアで子供たちの為に働きたい」と語っていた謎の栄養士である姉は、
南米ではなく、中米ではあるけれども、現地の人たちの為に2年間、栄養士として任務に向き合うそうだ。
青年海外協力隊に応募する前は、
人口500名で平均年齢68歳の小さな島の病院で務めていた僻地志向の姉。
(ちなみに住人の3割は苗字がアベさんらしい。)
青年海外協力隊が抱える様々なメリットもデメリットも知りながら、
それでも彼女は「行くこと」を決断した。
弟としては応援することと、無事に帰ってきてくれることを祈るばかりです。
姉だけでなく、多くの協力隊員が順次、任地へと派遣されていきます。
皆さん、ちゃんと無事に帰ってきて、「ただいま。」って言ってくださいね。
僕たち家族は、
「おかえりなさい。」を元気なあなたに言える日を、今からずっと待っています。
以上、これから旅立つ隊員の皆さんと、姉へ。
太田英基
JICA, JOCV, 中米, 女性, 栄養士, 海外で働く日本人, 青年海外協力隊