目が覚めて、地下1階にあるレストランへ向かう。
レストランでは頼んだ物とは違う物が出てきたり、違うお客のが運ばれてきたりと、サービス面に問題あり。
しかし、このホテルで初めて体験したモノがある。
このホテルにはエレベーターボーイがいる。
僕らの部屋は5階。エレベーターを呼ぶ際にボタンがあるがとうの昔に壊れているようだ。
では、どうするかというと・・・エレベーターの鉄製のドアを強くノックするのだ。
それはもう囚人が監獄に閉じ込められているかの如く、力強く鉄製のドアを叩きつける。
そうすると運がよければ15秒後に彼が音を察知して、迎えにきてくれるという仕組みだ。
ちなみに他の階でもドアを叩く人がいると彼が忙しいので、2分ぐらい待つことになる。
こんなエレベーター初めて…。
流石に旧すぎて、このエレベーターが崩れ落ちる確率は万が一どころではなく、百が一な気がする。
さて、朝御飯の時に出逢ったアンソニーも僕らの旅の仲間となり、
今日一日時間を過ごすことに。アンソニーはキューバに音楽レコードを探しに来ていたようで、
時間を見つけては中南米をレコード探しに旅しているそうだ。
僕らはまず葉巻工場を訪れた。
工場内は写真撮影が厳禁なので、残念ながら写真は無いのだけれど、最初から最後まで全て手作りで作られていた。
オールハンドメイド、此処に在りという感想です。
葉巻って、本当に葉っぱを巻いているんだね・・・。
煙草のようにクラッシュ状のモノを詰め込んでいるのかと思ったら違いました。
驚き…。
葉っぱ4,5枚程が1本の葉巻に生まれ変わっていく様子はアッパレな工芸品でした。
最高級品と言われるCOHIBAの葉巻は1本10ドルの値段でした。。ぶっとび。
紛れもなく、キューバの主要産業の1つでした。
その後、僕らはいよいよチェ・ゲバラの記念碑へ。
1997年にチェ・ゲバラの遺体が戦死したボリビアで見つかり、埋葬された場所です。
いわばお墓です。チェ・ゲバラと、彼と共にラテンアメリカの自由を目指した者たちの。
彼は紛れもなく偉大な人物だったんだと何度も何度も思わせられます。
彼に関する書物を読むだけでなく、数十年過ぎたキューバで彼は伝説の英雄のような、
偉大なる兄貴のような存在を今でも持っています。
街のいたるところで彼のシンボルを見掛ける事ができます。
最初は観光客向けかと思いましたが、そんなことはありませんでした。
本当に今でも多くの若者が彼を好きなような気がしました。
チェ・ゲバラのタトゥーをいれている若者もいるほどに。
きっと彼が生きていたら違った未来が在ったのかもしれないですね。
本当にそれほどまでにカリスマ的存在だったのでしょう。
死んで数十年経った今でも尚、世界中の人々が彼の記念碑を訪れるほどに。
チェ・ゲバラのことを知らない人は是非、彼に関する本を読んで欲しい。
彼が何を目指したのか、どう生き抜いたのか、学ぶことが沢山あります。
同様にフィデル・カストロも偉大な人物だと思いますが、
現在のキューバの状況が芳しくない為、国民からはあまり人気が無くなっているようですね…。
偉そうなことは何もわからない僕には言えませんが、
恐らく理想と現実とのギャップに彼もまた悩まされているのではないでしょうか。
その後、スタンが購入した葉巻を1本ホテルで吸ってみる。
…が、普段から煙草すら吸わない僕がキツイ葉巻を1本吸ってみると…
気持ち悪くなりました…。2時間寝込みました…。
その後、晩ご飯を食べて、昨日話しを聞いたライブ会場へ。
入場料は”2″と書いてある。2CUCかと思ったが、いざ入場すると2クバーノペソだった。
つまり・・・ライブハウス入場料がたったの8円ということになる。
これには驚いた。
中に入るとまさしく現地の若者に溢れている。
観光客は僕らを含めて6名のみ。
200名ほどいる客のほとんどはキューバ人だ。
そして夜22時から24時まで繰り広げられるライブ。
2つのバンドが出演した、ロックバンドである。
両バンドともメタルやミクスチャーなどの曲も含めて幅広く演奏をしてくれた。
Linkin Park、METALLICAなどの有名曲が演奏されてテンションがあがる。
そして終盤には、ジョン・レノンのIMAGINEが演奏された。
ここはキューバ。社会主義国家であり、情報規制もある。
人々は自由に海外に出ることも許されない。
経済的に貧しい状況にある為、人々は十分な物資を手に入れることも出来ない。
現地の人達が行くレストランにいっても、とても数少ないメニューしか無い。
スーパーマーケットにいっても本当に取り扱っている物が少ないことに何度驚かされたであろうか。
バンドとはいえ、彼らに十分な施設や設備があるわけでもない。
全く僕ら日本人とは異なる環境の中を生きているんだ。
しかし今、流れている音楽は皆が共に熱唱している曲は紛れもなく世界中の人々が知っている曲である。
音楽に国境なんて関係ないことを改めて肌身に刻む。
一緒にいたスタンもアンソニーも、僕と同じことを感じたようで感動していた。
音楽のチカラは本当に凄い。
ここ、キューバにきてサルサではなくロックでそれを知ることができた。
会場にいたキューバ人の若者が、
「キューバはサルサだけじゃないんだぜ!ここSanta Claraではロックが熱いんだ!」と熱弁してくれた。
確かに僕はキューバはサルサやタンバばかりが音楽だと思っていた。
しかし、それは己の視野を勝手に狭めていたんだなと。
先入観はいつも自分の視野を狭くする。自戒。
この機会に感謝。
その後、バンドメンバーのうちの1名と少しだけ話をした。
彼は現在、大学で英語を教えているそうだ。
しかしながら、生徒に英語を学ぶモチベーションを持たせることが困難で悩んでいるそうだ。
なぜなら、キューバ人は自由に海外旅行に行けるわけでもない。
仕事で英語を使う人は極一部。
生徒が限られた時間を生産的に使いたいという至極当然な理由の為に、
当然ながら「英語を勉強して何のためになるの?」という声が挙がるそうだ。
それに対して英語教師である彼は、
「もし、君たちがアメリカに亡命する時がきたら役立つよ。」としか彼らに学ぶ
モチベーションを持たせることが出来ないと。
そして実際にキューバの大学生もアメリカ亡命を考えている人が多くいると聞いた。
日本人なら海外留学やら、ワーキングホリデーやらでアメリカにはピョンといけるもんだけど、
彼らはビザ偽造や偽装結婚、少し前までは小さな船でアメリカへ渡るのが主流だったと聞いた。
改めて、僕らが置かれた環境の違いを感じた。