近藤さんは大学卒業後、新卒で電通へ入社し、そのまま電通一本で働いてこられた方です。
セールスプロモーション関係部署にて
IBMやヤマハ発動機等、KDD(現KDDI)の大手クライアントを中心に約10年間勤めた後に、
「知的所有権ビジネスの欧米における現状」という課題で2ヶ月間社の海外研修に参加をされて、
そこから電通内で海外関係の仕事に携わることが多くなったとのことです。
研修から帰国後は新設された海外関係の事業部に異動されました。
94年から98年まで約5年間、電通マンデートシンガポールへ赴任し、
キヤノンをはじめとする日系企業のアカウント担当責任者を務めたとのことです。
現地法人日本人社長が1年半後に赴任するまで日本人は近藤さん1人だったとのことです。
(現地で新規開拓された日系企業:ワコール/ブリヂストン/ポッカ/日清食品など)
シンガポールより帰国した後は、電通の国際プロジェクト・メディア局へ。
6年間ほど、日本発の海外向け広告業務のアジア地区を担当されて、
特に中国本土向け業務が多くを占めていたそうです。
あの日韓ワールドカップの担当として 1年間韓国出張なども経験されたとのことです。
その後、電通サドラー&ヘネシー出向(国内)を経て、国際事業統括局アジア部へ異動し、
電通の国際戦略の策定と海外拠点のバックアップ業務を行われておりました。
そして、2008年の春より電通フィリピン出向となり、
現在は電通の2つの拠点「電通フィリピン」と「電通インディオ」の管理、
日系広告主への営業活動の補助を行われています。
電通フィリピンには現地採用のフィリピン人従業員が数十名いるようですが、
現在、日本人は近藤さん1人だそうです。
近藤さんに教えて頂いたのですが、
フィリピン国内における広告費全体の中で、テレビCMの割合がとても大きく、
全体の約75%になるそうです。
テレビCMを出稿する広告主ではユニリーバやP&G等の日用生活品を主力とする企業が中心になっており、
国民の約70%が月間所得3万円以下の為、
逆に自動車メーカー等の高額商材についてはテレビCMを出稿するのは生産的では無いとのことです。
最近では低所得者層向けのマーケティング(BOPマーケティング)がよく話題にあがりますが、
フィリピンでも低所得層の人が商品を購入できるように小分けパッケージにして、
数円~10円程度から購入可能な物が多いです。
(洗剤、シャンプー、インスタントコーヒー、歯磨き粉等、多種多様です。)
日用生活品の大部分はユニリーバ、P&G等が市場シェアを持っているようでした。
そんな中、近藤さんはトヨタやパナソニックなどの日本の一流企業の商品力はフィリピンでも通用するし、
また味の素社や、ヤクルト社の根強いマーケティング力と、
マンダム社や日清食品の商品開発力はまだまだフィリピンでも展開できると仰っていました。
確かに味の素やヤクルトはフィリピン山奥の小さな売店でも当たり前に販売されているところを見掛けました。
僕が仲良くなったフィリピン人の友人は、毎朝ヤクルトを呑むことが日課だと言っていました。
これにはとても驚いたのを憶えています。
フィリピン電通は、代表の近藤さん以外はフィリピン人です。
働いている方々の様子を伺うと、
フィリピン電通で雇用しているフィリピン人の多くはフィリピン一流大学卒業の人材を登用しているようです。
皆、学習意欲もあり英語も流暢で、とても優秀だと仰っていました。
仕事での人間関係を大切にしており、転職者もそこまで多くはないとのことでした。
小さなプロジェクトで良いので自分でマネージしてみてください。
自分が知らない分野へ足を踏み出して、冒険してみてください。
百聞は一見に如かず。
経験できることは全て経験しましょう。
今いる環境に満足せずに、変えていく努力をしてください。
若かったら全てのことを否定してもいい。
今までの価値観を否定してもいいのです。
その上で、自分で価値観を創り、自分自身で何ができるかを考えて下さい。
近藤さんはこれまで海外業務経験を活かして、
フィリピンで電通グループを広告プロモーションの世界で名だたる存在に
育て上げるという目標を持って仕事をされており、
今後はアジア現地で広告の最前線や、電通の海外現地法人のマネジメントに携わっていきたいとのことです。
電通で働いている友人や先輩が何人かいるのですが、
ここまで電通内でグローバルに活動されてきた方とお逢いするのは初めてのことでした。
近藤さんは、これからは日本の広告会社も海外へもっと積極的に出ていかなくてはならないと仰っていました。
そして、これまでの経験を活かして、
電通のグローバル展開に貢献していくという使命感を近藤さんからは強く伝わってきました。
最後に、近藤さんは本当に電通を愛していられる方という印象を受けました。
自分が積んできた経験や知恵を、次世代の電通マンに残していきたいと真剣に考えられているようでした。
この出逢いに感謝すると共に、若輩者の僕が言うのも恐縮ですが、
近藤さんの益々のご活躍を応援しております!
太田英基
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