シリコンバレー滞在中にTwitterで偶然繋がり、一緒にお茶をさせて頂きました。
桜井さんは帰国子女などではなく、社会人になってから英語を学び直されたそうです。
その後、留学経験を経て、現地採用でソニー・コンピュータエンタテインメントのアメリカ支社で働いており、
夢であったアメリカでの生活を楽しんでいられます。
自己紹介とこれまでの歩みについて教えて頂けますか?
桜井由紀子です。
今はアメリカのカリフォルニア、ベイエリアに住んでいます。
子供の頃から漠然と海外に憧れはありました。
近所の友達が海外旅行へ行ったと聞けば、
「なぜ、うちは行けないのか?」と親に残酷な質問をしていました。
小学5年生のときに、ひょんなことから洋楽を聞くようになり
英語の勉強を始め、そのときから「大学は言語専攻」と決めていました。
それでも学校以外の勉強をしていたわけではないので、
問題なく英語の授業についていっていた、というレベルです。
大学では迷いなく英語を専攻したものの、バイトとサークルに明け暮れて、
英語関係以外の成績はガタガタ、単位はギリギリで卒業。
英語を専攻していたくせに、卒業当時はTOEIC600点台前半、
英検の準一級は不合格続きという情けない状況でした。
卒業後はIT化の波にのって汎用機のプログラマーとなり、プログラミングの知識を習得。最初の数年はプログラマー、システムエンジニアとして典型的な日本の企業で働いていたので英語は忘れる一方。
「英語と技術」というところに落ち着き始めたのは、20代後半。
IT翻訳を勉強したことがきっかけとなり、
今の会社(ソニー・コンピュータエンタテインメント)に派遣で入りました。
当時は翻訳者=文芸翻訳者だったので、
ライブラリの仕様書などを喜んで翻訳してくれる人があまりおらず、
(おそらく)英語力はイマイチだったのものの技術に抵抗がないという点で採用されました。
そのまま縁があって、個人契約、正社員となりました。
派遣も含めて8年程度働いたところで、家庭の事情で退社。
が、その後また流れが変わり、以下にあるBerkleyへの留学となります。
Berkleyに留学中、
アメリカで就職しないかと誘われ、海外就職が視野に入ってきました。
帰国後は東京で初の外資系企業へ就職。
ここで日本にいながらほぼ毎日英語を使う生活に。
海外出張も多くなり、やはり海外で働きたいという夢を捨てることができなかったところに、
ソニー・コンピュータエンタテインメントのアメリカ支社から転職の打診を受け、出戻ることになりました。
約2年日本で勤務した後、
昨年の一月からアメリカ支社勤務となりました。
私を欲しいと言ってくれた部署がアメリカ主体の部署だったため、日本の本社は退職し、ローカルとしてアメリカ支社に入りなおしています。
現在の仕事内容と、会社の魅力について教えてください。
会社の魅力はやはりエンタテインメント業であること。
会社の商品が身近で分かりやすいこと。
自社の製品を楽しそうに使っている人が見られるというのはモチベーションアップにもなります。
また、アメリカの支社は日本の本社よりも遊び心があるところも好きです。
(実はこれでもシリコンバレーでは地味なほうですが)
今は主にローカリゼーション関連の仕事と日本とのリエゾンをやっています。
また最近は業務プロセスの改善や効率化を考えることも多いです。
海外で働きたいという志向はいつ頃から芽生えたのですか?
子供の頃から漠然と思っていましたが、チャンスがないまま大人になっていました。
真剣に考えるようになったのは、2004年にテンプスタッフのスカラシップ制度に合格して、
Berkley, カリフォルニアに留学したことです。
それまで何度も留学したいと思っていたもののなかなかチャンスもお金もなく、
で過ぎていたのですが、この制度に受かったため、初の一ヶ月以上の海外滞在を体験。
(コース終了後も他のコースを取ったりしながらトータルで11ヶ月滞在)
ルームシェア、いろいろな国から来ているメンバーとの交流などを体験し、
かつ今の支社に遊びに行ったりなどをして、ノースカリフォルニアの生活がとても気に入り、
「いつか戻ってきたい」と思いました。
アメリカに来て、一番の困難は何でしたか?また、どのようにして乗り越えられたのでしょうか?
いきなり友達100人(日本)が5人程度(アメリカ)のような生活になったので、
孤独との戦いが最初は一番つらかったです。
日本では車も運転していなかったので、
こちらへ来てまず感じたのはいろいろな意味でとにかく「頼る人がいない」ということ。
もちろん会社の日本人の同僚やBerkeley時代の友人に本当に困ったときにはヘルプコールをしましたが、
それでも「甘えられるか」となると別。
とにかく「自分でやる」「自分からでかける」ことを強く意識的して、
こちらの生活に馴染む速度を上げるようにしました。
twitterで同じノースカリフォルニア在住の人をフォローしたり、
そこから得たイベント情報でイベントに参加したりしているうちに
「自分なりのペースや居心地のよさ」が出来上がってきた気がします。
生活面では、いまだ通院、銀行、各種支払関係など、つまずくことが多く、めげることも多いですが、
それはもう日常茶飯事なので困難には入りません。
今後の予定や将来の夢(目標)について教えてください。
正直、大きな夢はありません。
ただ日本と海外の架け橋的な仕事をずっと続けていければとは思っています。
また日々真摯に仕事をこなしていれば実力はついてくるものだし、
実力がついてくることで自然に次の方向性が見えてくると思っています。
生きるキーワードは「好奇心」と「積極性」でしょうか。
甘いかもしれませんが、この二つを忘れないように生きていけばなんとかなるかと。
プライベートでは将来は世界のいろいろな国を旅してみたいです。
特に東欧やキューバなどの社会主義国や元社会主義国に興味があります。
余裕をもって世界一周できるように、
十分な収入を得ること(資金を貯蓄する)はサブの目標としては持っています。
最後に、日本の若者に一言メッセージをお願い致します!
私の体験もまだまだ全然少ないほうですが、
せっかく生まれてきたのですから、
英語というツールを使っていろいろな体験をして欲しいです。
世界は広い!
「日本の常識は世界の非常識」であることが多いので、
グローバル化していく社会で働いていくためにはこの現実を知ることが必須だと思います。
以下、桜井さんからのアドバイスを頂きましたのでご紹介します!
英語力を日本でつけるコツ★
赤ちゃんが体得していくのと、大人になって覚えていく過程は全く別なので
大人になってから英語をやろうと思ったら、やはり文法を復習することが一番役に立ちます。
まずは高校受験の英語の問題集を解けるようになること。
文法の基礎の基礎は中学でやっているので、
これがしっかりできるようになれば、あとの積み上げはかなり楽。
語彙力を増やしていくことが基本になるので。
「問題集なんて面倒くさい」という人は、大枚をはたいて留学するのもありですが(笑)。
日本の高校英語までそこそこできていたら、基本海外で暮らす、働くことは可能です。
ただ語彙力はエンドレスで増やしていく必要があります。
私も日々勉強です。
私は英語専攻という状況ではありましたが、まともな留学は2004年が
初めてで、英語力は基本全部日本でつけました。
★海外で働くチャンスをゲットする方法★
やはり労働ビザについていろいろ調べることが重要です。
ビザが取りやすい国、取りづらい国、またビザの種類もいろいろあります。
アメリカは大変なほうだと思いますが、それでも学生ビザからインターン、就職のチャンスを探すという道は、
「いきなりアメリカ就職の口を探す」よりは可能性あります。
ただこのステップを取るには「時間」が必要となるので、
そこを短縮できる私が取ったようなDiplomaコースはオススメです。(後述)
ただ前提条件となる英語力は高めに設定されているので、
やはり事前に英語力を上げておくことが結局は必要となります。
海外が合うかどうか知りたい人へ★
旅行ではなく、現地の英語学校に入りホームステイや寮生活を送ることをオススメします。
英語学校なら一週間くらいの短期コースからあると思います。
現地の生活を知ると「自分が適応できるかどうか」を判断しやすくなると思いますし、
得られるものが全く違います。
※就労ビザ解説サイト byアメリカビザ情報(非移民ビザ)
http://www.usavisa.jp/howto/faq_visa.html
以上、御回答有難う御座いました!
桜井さんはアメリカで働くにはビザ問題がポイントとのことで、
それについて以下の情報を教えてくれました。
UC Berkeley Extensionが提供するInternational Diploma Program
という短期留学プログラムがあります。
http://extension.berkeley.edu/diploma/
http://ryugaku.myedu.jp/usa/program/barkeley.html (日本語解説 by 毎日エデュケーション)
これに参加することで、短期間でアメリカのカリフォルニアで英語を叩き上げながら、
その後の働き口を探すことができる時間を貰うことができます。
(OPTビザと呼ぶそうです。)
もしアメリカで働きたいと思っている人は、
こちらの選択肢も検討してみてはいかがでしょうか?
桜井さんは念願だったアメリカでの仕事を実際に掴まれました。
桜井さんは英語を社会人になってから本格的に習得したケースです。
楽天・ユニクロの社内英語公用化ではないですが、
何かを始めるのに遅すぎるということは有り得ません。
遅すぎるからどうこうと言い訳ばかりを口に出していたら、一生実現されません。
人間、「いつか」のままではいつまで経っても「いつか」でしょう。
「いつか」を「いつ」に明確に設定し、動き出すことが大切なのだと思います。
桜井さん、ご協力有難う御座いました!
太田 英基
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